ラブ☆コメ


二人の母親



 
         
 

お母さんとオヤジは相変わらずラブラブで、毎月恒例のデートには欠かさず行ってる。
そんな日はオレたち兄弟もこっそり家の中でラブラブしてるわけだけど、今日はその片方の兄貴が出張でいない。
今回は名古屋に出張だとかで帰ってくるのは明日。

『せっかくの土曜で、しかも両親がいないっていうのに高耶さんとラブラブできないなんて!』

なんて言って嘆いてたのは誰にも内緒だ。
やり手課長がこんなことで本気で嘆いたなんて、オレだってあんまり見たくなかったんだからさ。

仕方なく土曜は留守番になった。だ〜れもいない家の中、オレはインスタントで簡単な食事を済ませたり、好きなテレビ番組をリビングでダラダラしながら見たり、オヤジが大事に飲んでるレミーマルタンを味見したりと好き勝手やってた。

せっかく親の目を気にしないで直江とエッチできたのに、と、思ったのもホントだけど、まあこれはこれで気ままでいいやって感じだった。
そしたら夕方前にウチに来訪者がやってきた。

玄関ベルが鳴ったからドアを開けて見てみたら、初老のおばさんが立ってた。

「はい?」
「あの、私、長尾と申しますが、こちらに橘義明……さんはいらっしゃいますか?」
「え、ああ、はい、いますが……」
「お会いできます?」
「いや、それが……兄は出張で明日にならないと帰らないんで……」

今日はいないって聞いて、おばさんは少し残念そうな顔をした。
なんだろ?誰だ?ファンか?いや、違うな。保険のおばさん……でもないか。

「あの〜、良かったら電話でもさせますけど……」
「いえ、いいんです。私が来たことだけお伝えください。失礼します」

おばさんは何度もお辞儀をしてから帰ってった。
会う約束してたわけでもなさそうだからいいんだろうけど……気になる。

すぐに直江にメールをした。長尾さんておばさんが来たぞって。
直江からの電話は真夜中にあった。忙しくてメールチェックするヒマもなくて申し訳ないって謝り付きで。
長尾さんに電話してみたらって言ったら、電話番号を知らないからどうすることもできないって。
つーか、長尾さんて誰?

 

 

翌日日曜、直江は午後になって帰ってきた。
昨日の土曜で用件は全部終わって、あとは帰宅するだけだったからホテルをチェックアウトしたらソッコーで新幹線に乗ったらしい。

「おかえり」
「ただいま。これお土産です」

直江が家族4人分のきしめんを買ってきてくれた。それを見たお母さんが今夜はきしめんにしようって
ウキウキしてた。

「なあ、今日も長尾さん来ればいいな」
「え、ええ……」

長尾って名前に反応したのは直江だけじゃなく、お母さんもだった。
なんだか……悲しそうな顔をして。

「どしたの?」
「ん、なんでもないのよ」
「……なんか隠してない?」
「ないわよ〜」

そこで直江が割って入って、オレに見せたいものがあるって言って2階に連れてかれた。
直江の部屋に入ってしばらく長めのキスをして、抱きしめられた。

「昨日、高耶さんが会った長尾さんて女性は……私の実の母です」
「え?」
「私の本当の両親は不仲で離婚したんですが、母に他に男が出来たのが大きな原因だったんです。だから父に親権が行き、私は母とは会わずに育ち……。離婚は裁判にまでなりませんでしたから、母に会うのは自由だったんです。でも正直、子供心に男が出来たのを知ってましたから、会いたくなくて今まで過ごしてました」
「……そうだったんだ……」

小さい頃の直江が子供ながらに傷ついていたのは本人から聞いて知ってたけど、まさか母親の浮気が原因だなんて思ってなかった。
それが昨日の長尾さんなわけか。複雑な心境だろうな。

「ここの住所はたぶん今の母が知らせたんだと思います。私が小さい頃に父と今の母で、何度も私を母親に会わせようとしてくれたんですが、当の私が会いたくないと拒否してたんです。だからきっと今も母同士で葉書のやりとりぐらいはあるんでしょうね」
「そうなのかぁ……いいお母さんだな」
「ええ。母は実の母以上に母親らしいことしてくれましたから」

それで直江はお母さんが大好きなんだな。オレだって大好きだもん。

「まさかこの家に来るとは思いませんでしたが……高耶さんやお父さんに迷惑かけたら申し訳ないです」
「そんなのいいんだよ。だっておまえの母親なんだし。会いたかったらこの家で会ったって別にいい」
「私は……まだ会いたくはありません……」

そっか。それでお母さんは悲しそうな顔したんだ。直江がこう言うって知ってたから。
お母さんはずっと直江に本当の母親と仲直りして欲しいって思ってるんだろうな。

「けど大事な用かもしれないじゃん?だから一回会ってみたらどうかな?お母さんなら住所も知ってそうだし。な?そうしろよ」
「いえ……無理です……」

こいつ……なんでこう仕事以外じゃ情けないんだろ。
いつもはかっこいい課長さんなのに。

「今の暮らしに満足してるんですよ。高耶さんがいて、お父さんがいて、母がいて。家族で仲良く同じ屋根の下で暮らして、不自由もないし、ストレスもないし、親孝行できて……」
「うーん」
「やっと手に入れた幸せなんです。今更あの人に会って、何を話せばいいのかもわかりません」
「でもさ〜」

それっきり直江はもうその話をしたくないって言って不機嫌になった。
オレがあんまりにも首突っ込んできたからだろうし、直江に賛成しないから。
高耶さんだったらわかってくれるでしょう、みたいに思ってるとこがあったのに、オレが全然理解してやろうとしないからだ。

「お母さんだってさ〜、直江に本当の母親を……」
「私の母は一人だけです!」

怒鳴った直江にビックリした。こんな大人なのに感情的に怒鳴ったりするなんて思わなかった。

「直江のガキ」
「なっ……」
「バーカバーカ」

頑ななバカに腹を立てて、オレは直江の部屋を飛び出した。
だってどっちのお母さんもこのままじゃ可哀想だ。
うちのお母さんだって直江に良かれと思ってやってやってたんだし、向こうのお母さんだって直江のことは今だって忘れられないぐらい好きなのに。

大人のクセに意地っ張りでガキっぽくて、ホント、バカみたい。

 

 

 

それから家の中がギスギスしてた。お母さんは直江を心配そうに見ては悲しそうな顔して、直江はずっとムッツリしてるし、オレは直江がガキっぽいのが気に入らないし。
その中でオヤジだけが相変わらずの天然っぷりを発揮してた。

「な〜んか、家の中が暗いなあ」

オレは慣れたもんだけど、お母さんと直江はこの天然に慣れてない。だから二人でギクリとなった。

「せっかく義明くんのお土産のきしめんなのに、もっと楽しく食わなきゃきしめんに申し訳ないだろう」
「そうね」
「まーな」
「…………」

原因は直江にあると読み取ったオヤジは、夕飯が終わると直江を呼んでリビングでお説教した。
偉そうだけど、これはオヤジなりの気遣いだ。
さっきの天然発言だって、真相は天然なんかじゃなくてあれがオヤジの原因を見つけるための気遣い技なんだよな。

「お父さん、ちゃんと義明を叱ってくれるかしら?」
「さあ……?説教するわりには頼りないとこあるからな〜。どうだろ」
「これで義明が改心してくれたらいいんだけど……」

たぶん直江も本心では母親に会いたいと思ってるはず。ただ会う勇気がないだけで。
会って話して、もしも自分がひどいこと言ったらどうしようって、そう考えて怖いだけだと思う。

しばらくオヤジに説教されてた直江が立ち上がって、無言で2階に行ってしまった。
失敗……かな?

「ダメだ。義明くんに話を聞いてみたが……ありゃ俺より一枚上手だ」
「も〜」
「お父さん……」

オヤジが言うことにゃ、仮にオヤジの離婚の原因が浮気だとして、そんで美弥に会わせる顔はあるのかと逆に質問されたらしい。
会いたいだろうが美弥は会いたくないと言ってる。そんな子供に無理矢理会わせるような真似をするのは家族としてどうなのか、そんなふうに言われたって。

「さすがあの歳で課長になるだけあって、頭の回転が速い……」
「だらしねーオヤジ……」
「義明が悪いのよ。お父さんも高耶くんも気にしなくていいわ」
「いや、良くない!年老いた母親が会いに来たってことは、それなりに思うところがあったんだろう!」
「オレもそう思う!」
「似たもの親子ねえ……」

あの石頭兄貴め!

 

 

 

直江の態度は悪いまま。会社でもずっと不機嫌で、『橘課長の反抗期』ってゆータイトルまで付けられた1週間だった。

オヤジが休みの日、ダイニングでお母さんとオヤジの喧嘩が勃発した。

「おまえが甘やかしすぎなんだ!」
「私はちゃんとやってたわ!」

大声に驚いてダイニングを見ると、オヤジとお母さんがものすごい形相で言い合いをしてて、オヤジは今にも物をブン投げそうな勢いで、お母さんは目を真っ赤にして泣きそうになってる。
オレはその間に立ってオロオロするしかなくて、どうにか止めようと必死で割って入ろうとした。

「自分の母親の気持ちもわからない子供に育てたんじゃないか!」
「あの子は優しい子なんです!」
「二人とも落ち着いて!」

その場面を見て帰ってきたばかりの直江は固まった。
オヤジとお母さんは今まで一度も喧嘩なんかしたことなくて、いつも仲良くて楽しそうで、愛し合ってる夫婦だったのに。

「直江!どうにかしてくれ!」
「どうしたんです?」
「知らないけど、オレが帰ったときにはもう喧嘩してたんだ」

直江が止めようとしたとたん、お母さんが言ってはならないことを言った。

「やっぱり子連れ同士の再婚なんて無理だったんだわ!」

そんなふうに思ってるなんて……。

「それでも納得して結婚したんだろう!」
「もうあなたとは無理よ!離婚しましょう!」
「……ああ、勝手にしろ!」

初めて見たオヤジの醜態だった。オフクロとの離婚の時だってこんなに怒鳴ったりしなかったのに。
直江が帰ってきたことに気付いたオヤジは、ギッと直江を睨んでこう言った。

「自分が原因で親を離婚させる気分はどうだ、義明くん」

そう言い残してドスドス足音をさせて2階の寝室に行ってしまった。
オヤジ、なんつーこと言い出すんだ……。信じられない。我が親ながら最低だ。

「直江……」

その場で固まった直江は自分の足元を見つめて歯を食いしばってた。
声をかけるタイミングを失って、オレはとにかく今はお母さんのフォローをしなきゃいけないと思い直してお母さんの方へ。

「なあ、離婚なんて嘘だろ?」
「私だってしたくないけど……!でもお父さんや高耶くんにこれ以上迷惑かけたくないのよ!」
「そんなの気にしなくていいってば!オヤジはオレが宥めておく!お母さんは……もう一度冷静になって考えてみて」
「……ごめんなさい……」

お母さんを泣かせるなんて最低だ!オヤジも直江も!
こうなったら何が何でも二人に考えを改めてもらうぞ!!

「来い!!」

直江を引きずってオレの部屋に。
こいつがすべての元凶だ。

「どうすんだよ!離婚なんて話にまでなってるぞ!全部おまえが悪いんだ!」
「……そんな……」
「オヤジの言い方は悪いと思うけど、おまえが原因なのは事実なんだ!自覚してるんだろうな!」
「はい……」
「だったら自分が出来る限りのことをしろ。何もしないで離婚になったら……オレはおまえと別れるからな」
「え……」

やっと事態の深刻さがわかったらしい。

「親を離婚に追い込むような男をいつまでも好きでいられるわけがないだろう?」
「高耶さん……」
「オレは、お母さんが好きなんだよ。泣いてるの見たくないし、離婚して独りぼっちになるなんて想像したくない。おまえのお母さんなんだから、おまえが親孝行しないでどーすんだよ」
「そう……ですが……」

ああ〜!イライラする!!
なんでオレこんな男を好きになんかなったんだ!こんなウジウジしたヤツだって知ってたら好きにならなかったのに!

「いったい何がそんなに気に入らないんだ!前のお母さんに会うの、そんなに嫌か!今のお母さんを悲しませてまで会いたくないわけか!離婚させてまで会いたくないのか!」
「だって私は捨てられたんですよ!!」
「捨てたつもりならわざわざ次の奥さんに連絡とってまで息子に会いにくるわけないだろうが!」

オレはオフクロに捨てられたとは思ってない。オフクロに会うのは自由だし、美弥にだっていつでも会える。
そういう状況を作ってくれたのはオヤジとオフクロだ。
昔は腐ったこともあったけど、ただ離婚しただけであって、オレを捨てたんじゃないってのはずっとわかってた。

「浮気したのは事実だろうが、息子を捨てたわけじゃない。単におまえを育てられないって判断したから親権がお父さん側に行っただけだ。それを捨てられたの何だのって。それに再婚した両親を大事にしようって言い出したのはおまえなんだぞ。それすら嘘だったってことか?両親の幸せよりも自分の思い込みの方が大事だってのか?」

直江が何か言いたそうに口を開いたけど、それすら無視して話し続けた。
だって何か弱音でも吐かれたらムカついて殴りそうになるもん。

「何でもいいからとにかく母親に会え。お母さんだってそうして欲しいから今まで連絡取り合ってたんだ。わかったな。これで会わないなんて言おうもんならオレの鉄拳制裁と三下り半が待ってるからそう思え」
「………………はい」

ちょっと脅しの方法が姑息だったかと思うけど、こうでもしなきゃ直江は動かないからな。
オレってゆうエサがあれば多少は動くだろう。

「よし。じゃあ今すぐにお母さんとオヤジに報告しろ。母親に会うから離婚は待てって」
「わかりました……」

これでオヤジも納得してくれりゃいいけどな。
お母さんは柔軟だからまだしも、オヤジがあんなになったところ見たことないから、相当怒ってるはずだ。
まったく世話が焼ける兄貴だ。

 

 

あれから直江はオヤジとお母さんに「母親に会いますから離婚だけはしないでください」と頭を下げた。
どっちも本心から離婚なんて言い出したわけじゃないから、直江が頭を下げたことで仲直りもしたみたいで翌日は普通に会話してた。

てのはオレからの目線で、実はそうじゃないってのを二人から聞いた。
直江がまだ帰ってきてない夕飯でのことだ。

「あれ演技なの」
「へ?!」
「お父さんの提案でね、私たちが離婚の危機にでもなれば義明くんも目が覚めるんじゃないかってお父さんが」
「うっそ!」
「そこにお節介のおまえが仲介に入ることも計算済みだ。なんだかんだ言っておまえは義明くんと仲がいいしな。お母さんのことだって好きだろう?だから絶対におまえが説得するだろうと思って、お母さんと一芝居打ったわけだ」

オレ、いいように利用されてたってこと?マジで?
つーかなんつー計算高い夫婦だ!
そこまで考えて夫婦喧嘩の芝居してやがったのか!

「ごめんなさいね?」
「……いいけど……お母さんも人が悪いね……」
「高耶、敵を欺くにはまず味方からって言うだろう?おまえを欺いてこそうまく行く作戦だったんだから、これで満足してもらわないとな」
「……オヤジは人が悪いっつーよりも悪い人って感じだ……」

まったく直江もとんでもないヤツの息子になったもんだ。同情するぜ。

 

 

「高耶さんも一緒に来てくださいよ!」
「ヤダよ。なんでオレが」

日曜日、直江は産みの母に会うためにでかける準備をしてた。
ところがでかける直前になってビビり始めて、オレにも付き合ってくれって言い出した。

「私が暴走しないように見張ってて欲しいんです」
「暴走って何?大丈夫だよ。直江はそーゆーキャラじゃないし。万が一暴走したとしても相手はおまえの母親だろ?わかってくれるんじゃん?」
「でも……」
「でもじゃねえ!とにかく行け。一人で行け。そんで母親孝行をしろ。いいな?」
「はい……」

不安げに出かけた直江をお母さんと見送った。気が利かない直江にアンゴラのカーディガンを持たせたのはお母さんで、この人の方がよっぽどわかってるんじゃないかって思った。
ホントにいいお母さんだ。

「ちゃんと自分からのプレゼントだって言って渡せるかしら?」
「正直にお母さんからって言いそうだね」
「まあそこが欠点でもあり長所でもあるんだけどねえ」

直江が帰ってきたら色々聞き出してみようかと思ったけど、ヤツのことだから意地が邪魔して話してくれないかもしれない。
だから直江から話してくれるまで待つつもりだ。
どっちにしろオレと直江は死ぬまで一緒にいる予定になってるんだし。

「でも高耶くんがいてくれて助かったわ。私とお父さんだけじゃどうしようもなかったから」
「そう?」
「そうよ。ねえ……義明のこと、好き?」
「え?!」

好きって、好きって、えーと、どういう意味だ?!
もしかしてバレてんのか?!いや、そんなことないはずだ!

「お兄さんとしてだと頼りないし、課長としてだと厳しくて嫌いかもしれないけど、悪い子じゃないでしょう?家族として好きでいてやって?」
「う、うん」

なんだ……家族としてか……ああ、ビックリした。

「私も出来るだけしっかりお母さんをやるから、呆れずに付き合ってね?」
「うん」
「さてと、お父さんと今度行くデートのプランを練らないと」

幸せそうな顔してお母さんは家に入ってった。
オヤジの奥さんにしておくにはもったいないほどの人だと毎回思う。
でもずっとオレのお母さんでいて欲しいと思う。
二人も母親がいる贅沢を味わえるなんて、オレって幸せだよな。

 

 

あれから直江は母親のことを教えてくれなかったけど、アンゴラのカーディガンも渡せたみたいだし、自分もネクタイとマフラーを貰ってたからうまく和解できたんだと思う。
直江が話してくれるまで待ってたら、結局両親がデートでいない休日になった。

最初は緊張して二人とも黙ってたらしいんだけど、母親が頭を下げて直江に謝ったところから会話が始まって、たくさんいろんなこと喋れたって。

「罪悪感でいっぱいになって、私に会わす顔がなかったそうです」
「やっぱそうなんじゃん」
「ええ。でも一日も忘れたことはなかったと言われて、月並みなセリフなのに泣いてしまいました」
「泣いたの?おまえが?」
「そりゃ人間ですから」

ギュッと抱かれてキスされて、あったかい頬ずりしてきた。

「高耶さんのおかげです」
「みんなのおかげだよ」
「でも、高耶さんに叱られたから目が覚めたんです。感謝してます」

殊勝な物言いのわりにベッドに押し倒して強引にエッチに持ち込もうとしてるんだけど。
なんつー兄貴だよ。

「あんなに脅されたのも初めてでしたよ」
「ん?」
「別れるなんて脅しですよ」
「ああ、それは……」
「二度とそんなこと言われないように、頑張ります」

手がシャツの中に入ってきていろんなとこをまさぐってる。
たぶん今の直江の「頑張る」は「エッチでメロメロにする」って意味っぽい。
まあ……それでもいいけど……久しぶりの声出しOKなエッチなんだしな。

「愛してます、高耶さん」
「うん……」
「もう別れるなんて言いませんよね?」
「今はな。だからオレを満足させてみろ」
「はいっ」

どうしようもないほど子供っぽいとこがあるお兄さんだけど、オレにとっては大事な恋人で家族だ。
これからも大事にしてやるから優しいままでいて欲しい。

「今日は夜遅くになるまで両親は帰ってきませんから、とことん励みますよ」
「…………期待してる」

やっぱり優しいだけじゃなくて、とんでもないエロ兄貴だ。先行き不安、かも。

 

 

END

 

 
   

あとがき

やっと書けた直江の実母の話。
最初から設定はあったんですが
機会がなかったもんで。
年齢は60歳です。

   
   
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