ラブ☆コメ


アウトドア兄弟



 
         
 

横で直江が渋い顔をして機嫌を悪くしてる。
なんでかというと、オレの誕生日は平日だからってお母さんが夕飯で焼肉屋に行こうと言ったから。
その案に父さんはもちろんのこと、オレも賛成した。
直江も賛成したんだけど、実際は大反対だったそうだ。

「でもおまえも『いいですね』なんて言ってたじゃんかよ」
「家族の手前、そう言うしかないじゃないですか」

本当は誕生日の夜に高級フレンチに連れて行こうと思ってたそうだ。
でもお母さんに先を越されたんだって。

「どっちにしろ直江も一緒なんだからいいだろ」
「兄と恋人はどっちが上なんでしょうか?」
「……今は兄だ。お母さんが先に言い出して、オレがOKしちゃったんだからしょうがないの」
「じゃあ別の日。土日で開けておいてください」

土日。ということは、1泊ってことだよな。

「二人で家を空けたら怪しまれるぞ」
「1泊で登山とか言えばいいじゃないですか」
「登山の恰好して家を出るのか?」
「じゃあ本当に登山すればいいだけの話で」
「オレの誕生祝いが登山てことか?なんだそのワンダーフォーゲル部みたいなお祝いは」

直江は仕事はバリバリできるんだけど、オレのことになるととたんに子供みたいな態度になる。
そこが可愛い、なんてオレは思ってない。どっちかって言うと迷惑だ。
土日でって言うのもエッチ目当てなのがオレにわからないように、何をしに行こうとか最初に決めておけばいいんだ。
なのにこのお兄さんときたら。

「でも高耶さんの誕生日なのに……」
「わかったよ。どこか旅行するってことにしとけばいいよ」
「なんでそう投げやりな態度なんですか」
「おまえがガキみたいだからだ!」

オレがちょっと怒ってるのがわかったみたいで、なんだか小さくなってる。
ここはオレの部屋で、この図体のでかい男に落ち込まれても迷惑だ。

「最近、高耶さん冷たいですよ」
「直江が変なこと言ったりやったりするからだ」

直江がうちに来てから1年半。たった1年半の間にわかったことは、直江は恋愛(オレ限定)に盲目になるタイプだってことだ。おかげで最初から今まで直江には手を焼いてる。
直江に好きだと言ったあの日から、直江の実母が現れたときも、社員旅行でも、なんでそんなに子供みたいに駄々をこねるのかオレには理解できない。
それに嫉妬深いのもわからない。自分はどこででもモテてるくせに。

「誕生日は平日だからお母さんの希望を優先させて焼肉屋だ。その週の土日に何かもっともらしい口実を作って直江と1泊旅行するってことにする。だからおまえが考えろ」
「……土日で出かけてくれるんですか?」
「そうだ。オレだって直江と二人で出かけるのは楽しいんだよ」

最大限の妥協だと思ってもらえばいい。
でも直江にはすごく嬉しいことだったみたいで、いきなり機嫌よくなってウキウキしてる。

「わかりました。じゃあ考えておきます」
「はいはい」

そんなわけで直江との誕生日は1泊だ。本当は1泊でどこか行きたいのはオレも同じなんだよ。

 

 

23日はみんなで近所の焼肉屋さんに行って誕生日祝いしてもらった。
お母さんが来るまでの父子家庭ではオレの誕生日なんて祝ったことないからけっこう嬉しかったりする。
なんか「家庭」って感じで毎日家に帰るのが楽しみなぐらい。

そこに現れた「お兄さん」がまたいいヤツだったからお母さんには感謝しまくりだったけど、どこを間違えたかオレはそのお兄さんを好きになっちゃったんだよな。
しかもお兄さんもオレのこと好きだって言うから、兄弟なのに恋人同士で上司と部下ってゆうおかしな関係になった。
でもやっぱりオレは直江のこと大好きなんだよな〜。

それでお兄さんが考えたプランは、男同士で盛り上がるキャンプに決定したらしい。

「キャンプっておまえ……」
「楽しいですよ、キャンプ。高耶さんは行ったことないですか?」

小学生の時に町の子供会で行ったことあるけど……確かに楽しかったけど……

「道具は?」
「友人に借りました。もう車に積んであります」

用意がいいのは良い事だけど、なんでキャンプなんだろう?

まあとにかく、兄弟でキャンプだって父さんとお母さんに話したらカッコイイことするね、だって。キャンプって男らしいものではあるけど、なんか不安だ。

 

 

土曜日の朝、お母さんに見送られてキャンプに出かけた。道具は全部直江が借りたり買ったりしたもので、食料は全部お母さんが用意してくれた。
ごめんね、お母さん。オレは楽しくキャンプするわけなんだけど、オマケでお兄さんとエッチもするんだよ。

「どこ行くの?」
「奥多摩にキャンプ場があるんですよ。渓流釣りが出来るポイントが近くにあって、水道やトイレも完備しているキャンプ場です」
「風呂は?」
「近くに温泉が湧いている有料の施設があるそうです」
「へー」

なんか楽しくなってきた。誕生日とか、エッチとか、そうゆうの関係なく直江と楽しくキャンプするってゆうだけでもう満足になるかも。
さすが暢気な兄貴だけあって、面白そうな企画を立てたもんだ。
車は国道をのんびり走って山に入って奥多摩へ。直江の言うキャンプ場に到着。

「ここ?」
「はい。インターネットで探したんです。なかなかいい雰囲気ですね」

キャンプだけじゃなくてロッジみたいな家もある。でも色んなことを屋外でやるんだったらキャンプの方が格段に面白いに違いない。

「じゃあさっそく昼飯を食おう」

昼メシはお母さんが作ってくれたおにぎりとから揚げだ。着いてすぐに料理なんて大変だから持って行きなさいって。
もうマジで父さんいい嫁もらったよな〜。

「インスタントのお味噌汁も持たされましたから、お湯だけ沸かして作りましょう」
「うん」

テントを張る予定地の前に焚火台を置いて炭を入れて小さい鍋でお湯を沸かした。カップで飲むインスタント味噌汁はアウトドアってだけなのにいつもより美味しく感じた。

「なんか静かでいいところだな〜」
「人も少ないですしね」

アウトドア全盛期ってわけじゃないからキャンプ場はオレたちとあと3組しかいなかった。広いキャンプ場はその3組とも余裕を持って離れて場所が取れるくらい。他の人たちとは水道とトイレでしか会わない感じ。

お昼ごはんを食べ終わってからすぐにテントを張った。3人用のテントだからちょっと大きめで荷物も中に入るし、直江みたいなでかい男がいても狭く感じることもない。
慣れない手でなんとかテントを張って、中に荷物を入れた。寝袋を2つ並べてみたらなかなかいい感じの空間ができた。

「じゃあ釣りに行くか」
「そうしましょう」

歩いて20分ぐらいのところに自然の川の中に作った釣堀がある。竿も貸してくれるし、エサも買える。さらには養殖の川魚を岩で堀を作ってるところに放流してくれて、初心者でも絶対に釣れるようになってる。
オレは普通に渓流釣りしてもいいんだけど、直江は釣り初心者だから絶対に釣れない。だから直江はここの釣堀に来たんだろうな。
釣れなかったらテンション下がるもんなー。

のんびり2時間ぐらい釣りして、釣った魚をキャンプ場に持って帰って夕飯のおかずにする。貰った網に入れて持って帰った。

「夕飯までけっこう時間あるけど何する?」
「散歩でもしますか?」
「……別のことしよう」
「トランプなら持ってきましたけど」
「別のことって言ったろ」

どうせ誰にも見られないからキスをした。けっこう楽しい誕生日プレゼントをくれた直江に。

「別のことですか……」
「そう」
「いい考えですね」

テントの外でしつこいキスをして、直江の手がシャツをめくり上げたところでストップ。

「中でしよう?」
「はい」

テントに入ってキスの続きと、その先をした。汗臭いけどそれも興奮材料でいい感じ。
オレのシャツを脱がせた直江が首から鳩尾まで舐めた。わざと汗が多く出たところを、だ。

「高耶さんの汗の味だ」
「バカ……」
「もっと舐めてもいい?」
「…………いいけど、オレにもさせろよ……」
「後でね」

直江は乳首に吸い付いて甘噛みしたり、右手でオレのを布の上から擦ったりした。もうヤバイくらい大きくなった。

「直江……ダメ、もう、させろ……このままじゃ出る……」
「じゃあ私のも舐めてください」

お互いに硬くなったアレを舐めたりしゃぶったりした。
テントの中が汗と体液の匂いで充満するまで。

オレが先にギブアップして出して、そのすぐ後に直江が出した。オレのは直江が飲み込んだけど、直江のはうまく飲めなくて顔にもついた。
それをウェットティッシュで拭いてもらってから、テントの空気を入れ替えるために入り口のファスナーを開けたら夕方になってた。
どれだけエッチなことしてたんだろう?

「何時?」
「そろそろ6時ですね。明るいうちに夕飯の準備をしましょう」
「うん」

もう一度だけキスをしてからテントを出て、服が乱れてても誰も見てないから外で服を直した。

「直江も早く」
「はい」

テントの中で座って髪を掻きあげる直江。シャツの前が開いててすごいセクシーな姿だ。
こんな直江を見られるのはオレだけだよな。
ちょっと見とれてたら直江に気付かれた。なんか笑ってるし。

「なんだよ」
「食い入るように見られてたら恥ずかしがるか笑うかのどっちかでしょう?」
「別にそんなふうに見てないだろッ」
「じゃあそういうことにしておきます」

ムカつくー!!なんでいつもはオレの方がお兄さんみたいなのに、こんな時ばっかり直江が兄貴面するんだよ!!

「今夜はバーベキューでしょう?早くしないと陽が沈んで手元が見えなくなりますよ」
「はいはいはいはい!!」

くそ〜。

 

 

夕飯が終わってから露天風呂があるという温泉まで車で行った。もうあたりは暗くなってて灯が少ない道は少し怖いぐらいだ。
温泉は古い木造の建物で、室内に体を洗ったりできる室内風呂があって、外に出ると露天がある。

「高耶さんの誕生日で来ているわけですから背中流してあげますよ」
「んー、頼む」

全身キレイにしてから露天に出た。直江はオレの背中を洗ってたロスタイムがあるからまだ露天にはこない。
外灯で明るく照らされた露天風呂は森の中の秘境って感じがした。これで熊とか猿とかが入ってたら本当に秘境なんだろうけど、でもここは東京都内だ。不思議な感じ。

「ふわ〜」

大きなあくびをしたら直江に見つかって笑われた。

「お風呂であくびなんて赤ん坊みたいですね」
「別にいいじゃん。オレは小さいころから風呂に浸かるとあくびが出るんだよ」
「……今度、家のお風呂に一緒に入って確かめてもいいですか?」
「父さんたちがいない日ならな」

それから露天風呂の中を泳いだりして遊んだ。直江はそれを見て笑ってるだけ。でも楽しかった。
少しだけ直江に甘えてくっついてみたら、すぐに他の客が来て慌てて離れた。
直江が眉間にシワを寄せて小さな声で言った。

「せっかく高耶さんと露天風呂エッチが出来そうだったのに」
「仕方ないよ、貸切じゃないんだから」

オレもちょっと残念だったけど、公共の場所でそんなことしたがる自分たちってどれだけエロいんだって話だよな。

温泉にじゅうぶん浸かってサッパリしたオレたちはまた車でキャンプ場に戻った。直江がビールを出してきたから受け取って、缶のまま乾杯した。

「お誕生日おめでとうございます」
「ありがと」

ケーキも何もないけど、楽しい時間をもらえたからそれでいい。キャンプってやっぱり楽しいよな。
これからも来たいって思うから。
直江に寄り添ってビール飲んだり甘えて肩に頭を乗せてみたりしてるうちに、ちょっと怪しい雰囲気になってきた。

「直江……」
「もう酔いましたか?」
「うん、少しだけ……あのさ……ここ、せっかく人が見てないから……外でエッチしてみない?」
「え?!」

直江の驚きようは見てて面白かった。天地がひっくり返ったみたいな驚き方。

「直江だってそのつもりで1泊って言い出したんだろ。どうせだから外で一回してみたい」
「……覗かれますよ?」
「覗かせておけばいいよ。どうせ男同士のセックスなんてノゾキには興味ないんだから」

立ち上がって直江の荷物の中からゴムとジェルを出した。さっき荷物の中にあったの見ちゃったんだもんね〜。

「本気ですか?」
「本気だよ」

酔っ払ってるから自分でも思ってないぐらい大胆に行動できるのかもしれない。ランタンを消して月の明かりを頼りにズボンと下着を脱いだ。

「お尻を虫に刺されますよ」
「なんのために虫除け買ったんだよ」

電池式の虫除けは夕飯前からずっと稼動してて、そのおかげでどこも刺されてない。

「直江はしたくないのか?」
「いえ、驚いてるだけです。高耶さんが外でしようなんて言うわけがないと思ってたから」
「じゃあしようよ」

ビニールシートの上にブランケットを敷いて直江が座った。直江が自分で脱ごうとしたから止めて、オレがやる。

「シャツは脱がなくていいから、下だけ出すんだよ」
「なんか今夜は高耶さんが主導ですね」
「誕生日だから」

ズボンのファスナーを下ろして直江のを引っ張り出した。まだ柔らかいけどすぐに大きく固くなるんだよな。

「……高耶さん……」
「ん〜」

直江の膝にまたがってキスをした。その間も直江のをいじって大きくなるように。直江はオレのを触ってる。
外でキスするのって気持ちいい。音が響かなくてあんまりいやらしさがない。でもキスにいやらしさはなくても手がすごいいやらしいわけで。

「直江の……もう固くなった」
「あなたのもね……どうします?時間かけてすると見回りの人が来てしまう時間になりますよ」
「あ、そうか……じゃあとりあえず」

ジェルを直江の手に出してお尻を柔らかくしてもらいつつ、オレは直江のにゴムを被せる。毎週1回か2回は直江とセックスしてるからお尻の力を抜くのがうまくできるようになった。

「高耶さん、もうこんなに緩くして。兄としては心配ですよ」
「なんで……?」
「こんなに可愛いお尻をしてたら会社のケダモノたちに犯されてしまいます」
「……直江しかケダモノはいないよ……」

直江のを握ってゆっくりオレの中に埋めていった。すごい圧迫感はいつもと変わらない。

「外って……いつもよりいやらしく感じますね……」
「うん……家でするよりスリルがあって……感じやすくなってる……」
「そうなんですか?じゃあ遠慮なく」

直江がブランケットに寝そべって、オレの腰を持って上下に揺すった。しかもいつもみたいにベッドの軋みを気にしなくていいから激しくされた。

「あ……なお……」
「声はいつもと同じく静かにしないと気付かれますよ」
「でも……んん、気分が……すごいよくて……」

開放感とでもいうのかな。自分が人間じゃなくて動物になったみたいだ。動物はこうして外でセックスするんだもんな。

「じゃあ少しだけ声を大きくしてもいいですよ……でも絶対に聞かれてしまいますけど」
「いいよ……直江が気持ちよくしてくれるの……自慢してやるから……」

少しだけ声を大きくして直江とセックスした。外で。
二人とも興奮したのは外だからだと思う。お互いすぐに出してしまって、でも満足できなくてまたテントの中でセックスした。
寝袋、いらなかったな。

 

 

明け方に起きてから直江のしつこいキスでまたセックスして、こんなのマジでそのためだけのキャンプだったような気がする。
でもどこかに観光しに行って夜だけエッチするよりも、今回みたいな楽しく過ごせて刺激的なエッチが味わえるキャンプの方がアタリかも。

「また温泉で汗流してから帰りましょうね」
「うん」

キスをして車はキャンプ場を後にした。また露天風呂に入ってサッパリしてから帰宅。

「ただいま〜」
「おかえりなさい」

出迎えてくれるお母さんと、エロいけどなかなか頼りになるお兄さんと、相変わらずな父さんと、オレ。
まだ家族の歴史は浅いけど、オレにとっては楽しい我が家だ。

「疲れた〜。でも楽しかった〜!」
「よかったわねえ。義明もお兄さんが板についてきたみたいだし」
「もう1年半もお兄さんをやってますから」
「よく言うよ!オレが兄貴なんじゃないかと思う時の方が多いっての!」

お母さんがウンウンと同意して、直江が情けない顔をして。オレすごい幸せかもしれない。
自分の誕生日にこんな家族が祝ってくれるなんて。

「疲れたからオレ少し昼寝する。お兄さん、キャンプ用品の片付けとか掃除頼むな」
「ええ!一緒に使ったんですから高耶さんも片付けしてくださいよ!」
「オレの誕生日キャンプなんだから、オレは労働しなくていいの。お兄さん、よろしく〜」

呆れる直江を置いて自分の部屋に。服を着替えてからすぐにベッドで昼寝した。
どのぐらい経ったかわからないけど、オレの部屋に直江がベランダから入ってきて、カーテンを閉めてキスしてきた。
寝てたから夢かと思ったけど、本物だった。

「可愛い弟の言うこと聞いて、全部掃除しましたよ。だからお兄さんにキスしてください」
「……んんー」

キスして直江に抱きついて、そのままオレのベッドに寝かせた。

「直江、大好き」
「本当に可愛い弟ですね」
「たくさん大事にしろ」
「はい」

そのまま直江もベッドで昼寝。慣れないキャンプとワガママな弟のせいで疲れたんだろうな。
しばらく寝かせてやろう。オレも寝るし。
また行こうな、キャンプ。

 

 

END

 

 
   

あとがき

あんまりエロくないので
裏じゃなくて表で。
誕生日キャンプでした。

   
   
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