ご都合小説
   
 
GO TO HELL

※パラレルギャグです


 
         
 

「すまん!高耶、死んでくれ〜!」

オレはさっき親父に橋から突き落とされて死んだ。らしい。
おかしいと思ったんだよな〜。
借金苦で夜逃げしようってゆーから車に乗って深夜家を出たのはいいが、荷物は少なすぎるし、なんか親父がブルブルしてるし。

橋の上でタバコを吸いたいっつって外に出て、しばらくしたら「おい、ちょっとこい!」なんて呼ばれて出てみりゃさ。これだろ。
オレに掛けてた保険金目当てだと思うんだよ。
まったくなんでオレが死ななきゃなんねーんだっつーの!!

そんなわけでオレは現在、死後の世界とやらにいるらしい。
冷たい川の水にザブンと浸かって「冷てえ!」と思った瞬間、ここに立ってた。
まあ、ここが死後の世界かは行ったことねーからわかんねえけど。

上下左右ってもんがなくて、しかもどこもかしこも真っ白。
かろうじてオレが立ってるとこは道っぽくなってる。でもこれが道なのかは定かじゃない。
パイプのような気もするし、平面なような気もするし。

まあ、そんなこたどーでもいい。

死んだら死神とか天使とか案内人がいるもんだと思ってたんだけど、そんな奴等の姿はどこにもない。
三途の川を渡んなきゃいけないんじゃねえのかな?それってどこにあんだ?
どっちに行けばいいのかわかんねーから辺りをキョロキョロ見回してみた。
そしたら道の(道かどうかわかんねーけど、とりあえず道ってことにする)先の先にこれまた白い建物が。
背景に馴染みすぎてて最初は建物なのかどうかわかんなかったぐらいだ。

なんて不親切なんだ、死後の世界。

案内人がいないなら、あそこで道を尋ねようと歩き出してはみたものの、歩けど歩けど辿りつかねえ。
どうなってんだ、遠近感とか無視なのか?
ゼーゼー言いながらやっと辿り着いた建物は日本に普通にある古めの3階建てビルと似てた。
そこには一枚の看板がかかってた。

「……直江ツーリスト……?」

観光会社?なんでこんな死後の世界に?
まあ、観光会社だったら道もよく知ってそうだし、とりあえず入ってみっか。

「こんちは〜」
「いらっしゃいませ。ああ、あなた、仰木高耶さんですね?」

受付にいた男は黒スーツを来たちょっとかっこいいオッサンだった。
どうやら一人で経営してるくさい。

「え?なんでオレのこと知ってんの?」
「先ほど税関から通知が来まして」

税関???

「たまにまだ寿命でもないのに死んでしまう人がいるんですよ。そういう人は閻魔大王のところへ行く前に、ここへ来るようになっています。こことは死後の世界ver.3.0Jと呼ばれる所です」
「オレってまだ寿命じゃなかったのか?!」
「ええ。そういう場合はいったん仮魂を送って蘇生させます。なのであなたの体はまだ生きてます。あなたが戻りたいと思えばいつでも戻れるようになってるんですが」
「戻る〜!」

しかし、と、その男は言った。しかしもかかしもねえ。今すぐ戻してもらおうじゃねえか!

「しかしですね、規定ですぐには戻れないようになっています。仮魂の貸し出しが2泊3日なので、それを過ぎてからなんですよ」
「レンタルビデオかよ……」
「似たようなものです。仮魂もタダで仕入れているわけではないので、ちゃんと減価償却してからじゃないと」

どうやら死後の世界バージョン3.0ジェイってとこは人間界の常識が通用しないわりに庶民的だ。

「それでですね、その期間がもったいないということで、我が社がハンパな死者のためのツアーをご提供しています。あ、代金は寿命を1年間貰いますのでご心配なく」
「ツアー?観光ツアーかなんか?」
「そうです。行き先は閻魔大王が決めることになっていまして、ハンパ死者がそれまでに生きてきた人生によって決まります。例えば善行の多い人は天国ツアーです。悪行の多い人は地獄ツアー。ハンパ死者の身上書を読んで閻魔大王が決めるんです。そしてもしもハンパ死者がツアーを気に入って留まりたいと思えば留まることもできます」

丁寧に教えてくれてるわりには、言ってることがメチャクチャなんだけど……身上書って何?
大丈夫なのか、この旅行会社……てか、死後の世界……。

「ツアーが気に入って元の世界に戻らなかった人は今まで30%。戻った人は70%。ですがなぜか地獄ツアーが気に入って留まりたいと言った人は一人もいませんでした。なんででしょうねえ……」

なんでって……当たり前じゃねえか……地獄を気に入るやつがどこにいるってんだ。

「それで高耶さんの行き先なんですが、まだ決まってないんですよ。普通は税関の知らせと一緒に来るんですが」
「ふ〜ん」
「ちょっと問い合わせしてみますから、待っててくださいね」

そう言って男は電話を掛け始めた。この世界は空間も白いけど、他のものも白い。電話も真っ白、ボールペンも真っ白、インクも真っ白。男のスーツだけ黒だ。
男が電話しながらメモ書いてるけど、インクが白いから何を書いてるかわからない。
本人にはわかってるらしいけど。

「わかりました。ではお待ちしております」

受話器をコトンと置いた男はオレに向かってメモを見ながら説明を始めた。

「今すぐにファックスが来ますから、もうちょっと待っててください。申し遅れましたが、私は直江ツーリストの社長兼、社員の直江信綱と申します。よろしくお願いしますね」

ファックスを待つ間、オレは直江って男に今現在の人間界でのオレの様子を聞いた。

「高耶さんはお父さんに突き落とされてから、川を流れて夜釣りをしていた男性に救助されました。その人が救急車を呼んで現在は病院の一室で意識不明の状態です」
「怪我とかは?」
「幸い無傷です」
「良かった〜」

しばらく直江と話していたら、ファックスが来た。人間界のと同じ音がした。

「ああ、決定したようですよ。え〜……あなたは地獄ツアーですね」
「うっそ!」
「嘘じゃありませんよ。ほら、地獄ツアーに丸がしてあります」

真っ白で読めないんだけど……。

「閻魔大王のコメントが入ってますね『50.1:49.9で地獄ツアー決定。超ビミョー』だそうです」
「超ビミョーなら天国ツアーでもいいじゃねえか!」
「そうはいきません。厳正なる閻魔大王の裁決ですから」

そーゆーわけでオレは地獄ツアーに行かされるハメになった。
ま、人間界に帰れるんだからちょっとぐらい付き合ってもいいか。

 

 

直江ツーリストを出たオレたちは白い道をテクテク歩いていた。
道が急に二股に分かれて、直江が左を指差した。

「さあ、こっちですよ。高耶さん。乗り遅れると迷惑をかけてしまいますから早く」
「乗り遅れるって、何に?」
「地獄へのジェットコースターです。傾斜89度の絶叫マシンなんですよ」

なんでジェットコースター??

「乗り物からして怖くないと地獄に行く覚悟ができませんからね。亡者認定の皆さんのコースターに乗せてもらうんですから、礼儀正しくしてください」
「亡者って!」
「本物の地獄送りの皆さんです」

白い道はどんどん赤黒くなっていって、コースター乗り場はもう阿鼻叫喚て感じの不気味さだった。
そこに項垂れて並んでるのが亡者の皆さんかよ……すげー迫力。
その並んでる皆さんの中に知った顔があった。

「あ!あれこないだ死んだ政治家だ!」
「ああ、あの人は生前、相当に悪いことをしていた人なんですよ。人も何人か殺させてます。きっと7つの地獄を全部回らせられますね」
「……どんぐらいの間?」
「ざっと23000年です」

ひー!悪いことするとそーなるのか?!

「人には事情というものがありますから、閻魔大王も情状酌量をしてくれるんですが、彼の場合は酌量の余地もなかったということで23000年です」
「情状酌量?そんなのもあんの?」
「ええ。普通に酌量もあります。でもどんなに悪いことをした凶悪犯でも、閻魔大王の裁判の時に一発芸ができるとけっこう酌量されたりもします。爆笑を取ると天国行きに変更になったりもしますよ」

ちょっと待て!なんだそりゃ!
閻魔大王がそんなんでいいのか?!

「さ、乗りましょう。高耶さんはツアー客ですから特別に一番前を確保してあります」
「全然嬉しくねーよー!!」

コースターの一番前、オレは直江と並んで絶叫しながら地獄へ行った。

 

 

 

コースターが着いたそこは呻きや喚きや叫びがこだまするマジモンの地獄だった。
ただ扉があって中を見ることはできなかったけど。

「さて、ツアーでは『死の番号』4種類の地獄が見られることになってますが、今回は私の厳選した地獄をお見せします。あ、言っておきますがプチ体験つきですから覚悟してください」
「マジかよ!」
「当然です。では入りましょう」

直江は『血の池地獄』と書かれた扉の前にオレを立たせた。
そして神妙な面持ちで言った。

「ここはとても危険な地獄です」

危険じゃない地獄なんかあんのかよ、って言いたかったけど、たぶん言っても無駄だ。
仕方なしに直江の説明をおとなしく聞くことにした。

「絶対に番人に逆らってはいけません。プチ体験と言っても相当な苦痛を伴うでしょう。私もガイドとして付き添いますが、あなたがどんな責め苦をおっても口出ししてはいけないことになっています」

重々しくて毒々しくていかにも地獄の扉って感じの扉を直江が開けた。
ゴクンと唾を飲み込んで目を凝らして見てみると……。
なんとそこはキャバクラだった。

「はあ?!」
「最悪に毒々しいでしょう?」
「どこが!」

直江が受付の黒服に名前を告げると丁寧に対応してくれて、店(?)の奥に通された。
赤いソファに座って待っていると、ちょっと美人のおねーさんがやってきた。

「紹介します。これが今回、あなたのプチ体験を担当する綾子です。こちらが高耶さんだ。綾子、あまり手ひどい真似をするんじゃないぞ。彼はプチ体験ツアーなんだからな」
「わかってるわよ。よろしくね、高耶くん」

そして……オレは血の池地獄と呼ばれるこのキャバクラの正体を知ったのだ。

「ほらほら、もっと飲んで〜!まだまだ飲み足りないんじゃないの〜?!」

血を吐くまで酒を飲まされるのだ。それが血の池地獄。
大規模な店の中、あっちこっちで血を吐きながら飲んでる亡者がいる。
それに混じってオレも綾子ねーさんに飲まされてる。

「うーい。もう飲めねえ……」
「何言ってんのよ!あんたこれだけで許されると思ってんじゃないでしょうね!」
「だって……もう……おえ〜」

メタクソに酔っ払っても許されない。まさに地獄だ。

「ここから出るにはキャバ嬢と飲み比べをして勝たないといけないのよ」
「でもオレ……ツアー客だし……ウエ〜……」
「まったくもう、だらしない!こんな手ごたえのない客、初めてだわ。ちょっと直江、なんなのこの子!」
「仕方ないだろう。高耶さんはまだ17歳なんだ」
「だったら別の地獄に行かせればよかったのに!もういいわ。帰りなさい!」

綾子ねーさんの酒の強さは尋常じゃないみたいで、逆指名でまた別のテーブルへ行ってしまった。
そこには酒で死んだはずの役者がいた。

「今日こそは綾子ちゃんに勝って地獄から脱出だ〜!」
「あら、負けないわよ〜!」

オレ、生き返ったら酒で悪いことしないようにしよう……。

 

 

 

お次は叫喚地獄と書かれたプレートが貼ってある扉の前だった。
さっきの酒のせいで吐きそうなのに、まだやらせる気か〜!!

「ここは番人になじりやそしりを受けます。言い返すことは出来ますが、言い負かさなければ出られない決まりになっています。高耶さんはツアー客なので5分間と決められていますが……かなりの罵詈雑言を受けますから適度に落ち込んでください」

適度にってなんだ……オエ〜。

さっきと同じ毒々しい扉が開くと、今度は民家の男の部屋だった。

「さ、入って」
「……他の亡者はいないのか?」
「個室ですから」

どこかの英会話教室みたいだな、おい……。

「お、直江。そいつか、体験ツアーの客は」
「ああ。よろしく頼む、長秀」

メガネをかけた地獄の番人はちょっと大人っぽい大学生みたいなやつだった。
こいつが……?

「なんだ、てめえ。挨拶もろくにできねーのかよ。ったく。どうせ幼稚園も学校も行ってねえ山ザルなんだろうよ」
「はああ?」
「ツアーだかなんだか知らねえけど、ハンパに死にくさりやがって鬱陶しい。俺様はおまえみたいなやつの相手をしてるほどヒマじゃねーんだよ。こちとら地獄のエリートなんだ。忙しいってのに山ザル相手かよ、やってらんねーな!」

なるほど、これが叫喚地獄……。叫んで喚くってわけか。

「だいたいなんなんだよ、そのツラ!目つきわりーったらありゃしねえ!臆病者のくせに面構えだけはいっちょまえってか!ろくでもねえ生き方してきたんだろうなー!」

むむむ。言いたい放題じゃねえか!そんならこっちも遠慮はしねえ!

「うるせえ!このメガネ!エリートだかなんだか知らねーが、メガネかけてりゃ頭良く見えるとでも思ってんだろうが!てめえの頭振ったらカラカラ音がすんじゃねえのか?!干からびた脳みその音がよ!」
「なんだと〜!おし、いい度胸だ!この腐れ×××!」
「くっそー!見たこともないくせに〜!そういうてめえは×××××で役にも立たねえんじゃねえのか?!おお?!こんな地獄にいたんじゃ×××も腐れっちまうわなあ!」
「くうう!俺様が一番気にしてることを!おまえなんか××で×××だからこんな地獄ツアーなんかしてるんだ!そうだろう?!そうなんだよなあ?!」
「かーっ!それは言っちゃなんねえことなのに!人間様ナメんなよ!」

ピリピリピリ〜。笛の音。

「時間です。5分過ぎました。高耶さんの叫喚地獄体験は終了です」
「延長だ!!」
「ダメです。決まりですから。さあ、次行きますよ」
「まだ終わってねーんだよ〜!直江!頼む!こいつを黙らせるまでやらせてくれ〜!」
「ダメですってば」

ヘラヘラと勝利の笑顔を浮かべる長秀に手を振られ、オレは直江に引きずられながら外へ出た。
悔しい!こんな悔しい思いは生まれて初めてだ!まるで地獄の責め苦にあってるようだ!
って、そうか、これが地獄ってやつなのか〜!!

 

 

三番目の扉に辿り着くまでオレは悔し涙が溢れてきてしょうがなかった。
直江は白いハンカチでオレの涙と鼻水を何度も拭いた。案外優しいやつだ。地獄の番人とはわけが違う。

「さて、お次は針の筵地獄です。ここは今までよりもさらにきつい地獄になっています。ここについては高耶さんが耐えられないと判断した場合、私が助けていいことになっています」
「そ……そんなにキツイのか……?」
「ええ……たぶん、ここを耐えて出る亡者は10億人に一人という確率なほどに……できれば私も入りたくありません」

そんなに……針の筵地獄……オレ、1分ももたないかも……。

「さあ、入りますよ。覚悟を決めて」

またもや毒々しい扉が開いた。しかし中は死後の世界バージョン3.0Jと同じ白い世界だった。

「……ここ……?」
「ええ……来ましたよ。地獄でも一番恐ろしいと言われているあの人が」

やってきたのは温和な顔の少年。オレと同じくらいの年齢のやつだった。

「あれのどこが怖いんだ?」
「いいから、大人しくその座布団に座って」

オレが座った座布団の前にも同じ座布団があって、少年はそこに座った。

「こんにちは。俺、譲って言うんだ。本業は弥勒菩薩」

本業は、って……。じゃあこれはバイトか何かか?つーか、こいつが弥勒菩薩?

「きみは高耶だね。ねえ、高耶。なんで学校来ないの?」
「……う」
「そんなにサボってたら留年しちゃうよ?それにさ、また他校の生徒とケンカしたんだってな。そんなんじゃいつ退学になってもおかしくないよ。ねえ、聞いてる?」

譲はどんぐりまなこでオレをじーっと見つめた。

「どうしていつもそんなふうに突っ張ってんの?本当は寂しいくせに。いつか友達なくすよ?」

どんぐりまなこはオレの心を見透かしてるようにじーっとオレの目を覗き込む。
それから譲は黙ったまま、ずーっと、ずーっと、オレを見つめた。まるで責めるような目で。
金縛りにあったみたくオレは動けない。譲の目はなんでもお見通しなような気がしてきた。

怖い…………確かにこりゃ針の筵だ……。
いたたまれない……。帰りたい……。

「譲さん、ストップです!もうこれ以上は高耶さんには耐え切れません!」
「……直江さん?いいの?本当に?」
「うっ……いいんです!これ以上、高耶さんを傷つけるのはやめてください!」
「あ、そう。いいんだ?へ〜」
「くうう……!ここで踏ん張らねば直江信綱、ガイドとして失格だ!譲さん!終了してください!」
「わかったよ。俺も本業で忙しいからね。じゃあね、バイバイ、高耶」

終わった……今までで一番単純だったけど、一番怖い地獄だった……。
なんであの譲ってやつはあんなにおっかないんだろう……?

「ふう……どうにか耐えましたね……さて、と。ここを出たら次は淫欲地獄です」
「い、淫欲?!オレ、まだそーゆー体験ないんだけど!」
「違います。淫らなことを考えた人間が行かされる、拷問のような地獄です。例えば×××を切り落とすとか、そういう場所なんですよ」
「切るの?!」
「高耶さんは切りません。見学です」

だけど切られる人を見なきゃいけないってこったろ?いやだ〜!痛いのなんか見たくない〜!

「それだけは!それだけは勘弁してくれ!痛いの見るの絶対やだ!」
「……そうですか……では淫欲地獄ver.5.0Jにしておきましょうか」
「そっちは痛くなくて済むのか?!」
「ええ、まあ」
「んじゃそのバージョン5.0ジェイで頼む!」
「……御意」

ニヤリと笑った直江が怪しかったけど、そんな×××を切り落とされるシーンを見なくて済んだと思ったオレはあんまり気にしないで直江の後について行った。

 

 

「ここが淫欲地獄ver.5.0Jです」
「……ラブホ……?」
「人間界ではそう呼ばれているらしいですね。一応地獄なんですけどね」

ここで何を体験させられるんだ?切り取りよりももうちょっとソフトな……って、まさかSMを見せられるんじゃ!
それもダメだ〜!痛いのは見たくもない〜!
ムチとかロープとか無理だ〜!されたくもない〜!

「さあ、ここに寝て」
「へ?」
「いいから寝なさい。ツアー最後の地獄なんですから、しっかりと体験してもらわねば」

直江に言われたとーり、ベッドに寝るとポンポンポーンと服を脱がされてスッポンポンに。

「うわわわ!」
「ああ、可愛らしい……まだ青い果実のようでステキです……」
「な!」
「ではいただきます」

直江がオレの×××を咥えてしゃぶりだした!なんだこれ〜!!

「きもちいい?」
「うあっ……!んん!やだっ」
「灼熱のように熱いあなたの白いマグマを出して、この淫欲地獄を体験してください」
「直江……!あ!ダメ……!」
「いいならいいと言って?羞恥もこの地獄の責め苦なんですから」
「ああ!直江!いっ、いい〜!」

そしてオレは直江の熱い鬼の金棒をケツにぶち込まれて灼熱地獄も味わった。

「高耶さん!好きです!」
「あっ、あっ、あっ!」
「どうですか?!この地獄は……!最高に苦しい責め苦でしょう?!」
「ううん……!なおっ……、ああ!」
「白いマグマに焼かれて一緒に地獄を味わいましょう!」

オレはとうとうこの地獄に負けて、何度も何度も発射して、直江と堕ちた。地獄に。たぶん。

「も、ダメ……!いくぅ!いく〜!!」

 

 

 

直江の絶倫で気絶してる間にどうやらオレは人間界に戻ってきてたようだ。
ここは病院の白いベッドの上で、オレは無傷で横たわっている。

あれは夢だったのか?いや、それにしてはリアルすぎる。
酒を飲んだのも、長秀とバトルしたのも、針の筵に座らされた感覚も、直江の……あの忌々しいガイドの×××が入ったケツの穴も、超リアルに記憶と感覚に残ってる。

だけどここは病院で、直江の姿もなくて、病室には親父がいて……。メチャクチャに後悔して謝ってきた親父がいる。

「仰木さん、面会の方がお見えですよ」

看護婦さんがドアをコンコンと叩いた。親父は見舞いのリンゴをむいてた手を止めて病室の外に挨拶へ行った。

「これはこれは……。ええ、その節はありがとうございました。おかげで助かりました」

ん?助けてくれたって、夜釣りしてたってオッサンか?
わざわざ見舞いに来るなんざいい人じゃんか。

「金まで工面していただいて……これで借金も返せます。いや、そんな、お安い御用ですよ。高耶一人ぐらい」

は?なんだ?金の工面?お安い御用?高耶一人ぐらい?

「息子も元気になりまして。どうぞ、どうぞ。会ってやってください。これからお世話になるんですから」

親父のおかしなセリフと供に入って来たのは……なんと直江。

「な!なんでおまえがここにいるんだ!」
「はい?はじめまして、高耶さん」
「はじめましてだ〜?何言ってやがる!オレにさんざんあんなことしたくせに!」
「なんのことでしょう?私とは初対面のはずなんですけど……」

うぇ?って、ことは?もしかしてあの直江に似てるだけ?

「この方は橘さんと言って、おまえを助けてくれた恩人だ。趣味の釣りで話が合ってな、今は父さん、橘さんが経営してる旅行会社で部長として再就職したんだ。借金まで肩代わりしていただいてな。おまえも感謝しないか」
「……そうだったんですか……ありがとうございます」

それで親父の顔が妙に明るかったわけか。再就職もできたし、借金も返せたし。
でもさっき言ってた「高耶一人ぐらい」ってなんだろう?

「それでだ。父さんの働きだけじゃ橘さんに借りた金は返せないんでな、高耶にも橘さんのところで働いてもらうことになったんだ」
「オレも?学校はどーすんだよ」
「学校へ行きながらでいいらしい。退院したらすぐにでも橘さんの家で住み込みで働いてもらうぞ」

住み込み?家政婦代わりにでもするんだろうか?

「よろしくお願いしますね、高耶さん。それほどつらい仕事はさせませんから安心してください」
「はあ……」

親父は橘さんにコーヒーでも買ってくる、とか言って病室を出た。
見れば見るほど橘さんは直江に似てる。他人の空似とはいうけど、ここまで……。

「そんで、オレは橘さんとこで何して働けばいいの?」
「簡単な仕事ですよ。私と毎晩淫欲地獄を味わえばいいだけです」
「……は?!」
「愛してます。高耶さん。新婚旅行は天国ツアーしましょうね」
「なっ、なっ、なっ……」

直江だ〜〜〜!!!
こいつ直江だ!!直江だー!!!

「親父!親父ぃぃぃ!!」
「無駄ですよ。お父さんにはもうすっかり話を通してあります。あなたが私の奥さんになるって条件でお金をあげたんですから。借金じゃなくて、贈呈です」
「親父もグルかよ!」
「さあ、高耶さん。私と地獄の底までお付き合いしてくださいね?」

誰か、助けてくれ〜〜〜〜!!!

 

END

 
         
   

勢いで書いたもの。
結局そーなるのね、って感じ
ですが、まあいいってことで。