犬小説 |
||||
まて ※よくわからない設定になっています |
||||
オレの家では犬を飼っている。その名も直江。犬だ。 犬だ。 犬なんだが……。 「直江、直江〜」 妹の美弥が呼ぶ。直江は無視をする。 「やっぱお兄ちゃんにしか懐かないね。呼んでみてよ」 ……どこの世界に犬を呼んで「はい」と返事をされる飼い主がいるのだろうか。 「なんでしょう、高耶さんッ!」 嬉しそうに尻尾を振っているのかもしれないが、オレにはその尻尾が見えたためしがない。 「なあ、美弥……直江って、犬なのか?」 何か不都合がどころか不自然すぎる。黒い部分はどう考えても服だ。茶色いところは体毛だ。 「高耶さん?」 団地の広場でフリスビーを投げてみた。直江は走って追いかけ、フリスビーを手でキャッチして持ってきた。 「どうぞ」 やっぱりどう考えても人間だ。 「おまえって、何歳だっけ?」 4年前は犬だったんだ。 「耳と、尻尾は?」 そう言って直江は普通の人間の耳を指差した。 「尻尾は?」 オレの右手をギュッと両手で握った。おかしい……。 「おかわり……」 今度は左手を。両手でやれ、なんてオレは教えてないはずだ。子犬の頃にさんざん教え込んだはずなのに。 「……じゃあメシにするか……。美弥、直江のご飯用意してくれ」 最近の直江は家族と一緒に食卓でご飯を食べる。箸と茶碗を使って、まるで人間のように。 「美味しそうですね。今日は美弥さんが作ったんですか?」 オレは味噌汁を吹き零した。 「そりゃお兄ちゃんが飼い主だけどさ〜。美弥だってご飯用意したりお散歩連れてってるじゃない」 犬なら『忠誠を誓う』んじゃないのか?普通は。 「誓ったって、誰に?」 おかしい……どうして美弥は犬と会話してるんだ?しかもまともに成り立ってるじゃないか。 「はあ、満腹です。ご馳走様でした」 オレは自分の部屋に直江を連れていき、犬なのか人間なのかそろそろハッキリさせるために色々質問することにした。 「おまえ……犬なんだよな?」 そこでようやく直江は自分の姿を見て、触った。 「……いえ、やはり犬ですよ。先週も狂犬病の予防接種しましたし、フィラリア予防もしましたし」 直江は黒い服を脱いでオレに覆いかぶさってきた。犬なのに服? 「してほしいんでしょう?してあげますよ、ちんちん」 ……結論。直江は犬だ。
END |
||||
頭の中がおかしくなって |
||||
|
||||