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意味なし小説 |
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幸せの基準 ※原作パラレルみたいな感じの設定 |
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普通、っていうのがどんなものかオレにはわからない。
その最たるものが直江とのセックスで。 だったら何を参考にして何を基準にしたらいいんだろう。 「どうしたんですか?」 直江の胸を枕にして一人で考え込んでたら、様子を察知したこの男はオレの頭をサラサラ撫でてやけに優しい声で聞いてきた。 なんでオレがそんなことを考えたかというと、さっきまでしてたセックスを思い出したから。 普段の直江は直江のままだ。 「直江さ、本当はセックスしたくないんじゃないか?」 すっとぼけてる。 「したくないならしなくていい」 そう。楽しくないんだ。奪い合うだけで与えないから。 「楽しくない?本当に?意地を張らなくても……」 だからこうして事が終わった後にそばにいるだけの方が好きだ。これだけでいいならセックスなんか必要ない。 「直江とは一緒に暮らして、まあなんつーか、人生の伴侶って形でいいんだけど。どうせ切れない縁があるんだし。今まで400年、これからもたぶん数百年、一緒にいるってことでさ」 出来れば直江もそうしてくれるなら一番いいが、こいつは金なんか払わなくてもすぐ相手がみつかるから、そこは我慢しておくしかないか。 「楽しくない、ですか。わかりました」 頭に置かれてた手が乱暴に髪を掴んだ。 「あなたの心も体も、もう誰にも渡しません」 直江の手を振り払って、起き上がって怒鳴った。 「おまえ、何か勘違いしてるだろ!男同士だからとか、今までのことがあったからとか、そういうのに甘えてないか?!愛されてるって実感できるセックスをオレが望まないとでも思ってんのか?!勃起して出してそれだけでいいとでも?!」 端的に言ってしまえばそうだ。甘やかされたい。優しく包んでもらいたい。直江から与えられるものを素直に受け取りたい。痛みや激しさなんかじゃなくて。 「おまえは……普段は普通の人間なのに、なんでセックスになると乱暴で怖くてケダモノみたいになるんだよ。違うんだよ、オレが望んでるのとは」 セックスの時に勝ち負けを持ち出してくるような、そんな男はごめんだ。 「オレだって普通のセックスってのがどんなのかわかんねえよ。でも普通の直江でいることは出来るだろ?それがいいんだ」 毛布を引っ張って、それを引きずってリビングに行った。今夜は寝室じゃ眠りたくない。 「高耶さんっ」 ドアを閉めたら直江は追って来なかった。
「高耶さん」 髪を撫でる手で目が覚めた。背中が痛い。 「寝過ごしたようですよ」 時計を見たら午前9時。もう学校に間に合わない。 「あ!直江も遅刻じゃんか!」 昨夜はケンカみたいになってオレだけソファで寝たんだった。だから背中が痛いのか。 「……じゃあ早く出勤しろよ」 覚えてたか。やっぱり。 「反省しました。一晩じっくり考えて、高耶さんの気持ちを理解しようとしました」 だとしたら結局はオレの望むセックスは無理だってことになるのか。 「でもひとつだけ、わかりました」 泣きそうな顔をしながら隣りに座って同じ毛布にくるまった。 「どうしたらあなたが楽しくて、幸せで、喜んでくれるか考えたら、あなたの純粋な笑顔を思い出しました。あなたがそういう顔をする時の自分はどういった自分だったか。それがきっと普通の私なんですよね」 そんなことのために有休を取ったのか。オレにも学校休めっていうのか。 「だから私も、いつものようにじゃなく、あなたといて幸せな自分でいながらセックスしてみようと思うんです」 その場でキスしてみた。いつもだったらその気でキスするとすぐに舌が入ってくる。 「寝室、行きましょうか」 誘うというよりも、お伺いを立てるという感じだ。 無言で頷いて、ソファから立ち上がった。毛布が落ちそうになったのを直江が直してくれて、その手が掬うようにしてオレを抱き上げた。 「どうした?」 目を閉じて口角を上げて笑って、さらに自分の体に密着させて強めに抱く。 「わかりましたよ」 オレにはよくわからない。今が普通の時の直江なのか?これが? 「こうして包んで、自分にすべてを委ねてくるあなたを愛しいと思い、そんなあなたに心の隅から隅まで支配されていることを誇りに感じている私。それが普通の時の私なのではないか、と」 オレの普通。他人と比較して基準を作るわけにはいかない『オレの普通』。 「直江の翼に包まれる、こういう感じが普通かもしれない」 自分から直江の首に腕を回してさらに抱きついた。小さい声で「寝室に行こう」と言うと、ゆっくりと歩き出してふんわり抱かれたままベッドの上に乗せられた。 「俺が少しでも暴走したらすぐに言ってくださいね」 どうしたら直江がサディスティックにならずにセックスできるかをオレなりに考えた。 「じゃあセックスしてる間ずっと、おまえを優しい翼だと思って甘えてやる」 眉を下げて優しげに笑った直江。セックスの前にこんな笑顔を見せたことはない。 いつもと違う感覚のセックスは、奪い合うだけじゃなく与え合い、優しかったり意地悪だったり、オレが普段愛している直江そのものって感じがした。 「気持ちよかった」 まだ理解が足りないのか?もう一度きちんと話してわからせないとダメってことか? 「わかってますよ。あんなに甘えられて、あんなに求められれば馬鹿な私でもわかります」 またさっきと同じ笑顔だ。ちょっと違うのは幸せの大きさがもっと大きくなったからだろう。 もう一度キスをして目を閉じた。
END |
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性的な用語を多用してる |
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