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同じ世界で一緒に歩こう それから |
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「なに、これ」 丁寧に封を切って空けてみると、さらに立派な紙が。 「発売して2ヶ月で500万本ですからね。日本だけだと80万本と言ったところですが、売れ行きがすごく良いのでパーティーするんですって。もちろん国内ですから身内と上席のスタッフや招待されたお客さんだけしか来ませんけど」 じゃああの全裸ポスターは効果絶大ってことか。すっげー。直江ってすげーヤツなんだな~。 「それに直江も招待されたってこと?」 そっか。オレは直江の恋人っつーか奥さんなんだよな。 「でもオレさ、モトハルの社員だけど、ライバル会社の社員が行ってもいいの?」 モトハルさんの他にも有名デザイナーや大きな会社の社長や、広告代理店の偉い人も来るみたい。 「うーん」 だったらいいか。 「テーマがオリエンタルでしたから、オリエンタル調のバンドの演奏もありますよ。胡弓演奏とか、高耶さんも結構好きでしょう?」 直江と一緒にスーツを選んでその日に備えた。
パーティーは土曜の夜。 「…………どうしたんだ、それ」 かっこいい直江とチューして、スキスキ言ってたら携帯に電話が来た。 「はい、すぐ向かいます」 へー、やっぱパーティーともなると迎えの車ぐらいは来ちゃうんだ?それは直江が主役だからかな? 「じゃあ行くか!」 で、コンシェルジュの皆さんがエレベーターから降りてきたオレたちを驚愕の目でみた。 「い、行ってらっしゃいませ」 そんで直江と並んで外に出たら、マンションの敷地の中にドデーンと黒いリムジンが。 「……これ?」 運転手さんがドア前で待ってる。後部座席のドアを開けてくれる。 「さあ、高耶さんが先に」 直江のエスコートで乗り込んだらオレが大の字で寝そべってもまだ余裕がある広さ。 「ああ、飲み物が用意されてますね。飲みながらゆっくり走ってもらいましょう」 二人で後部座席に座った。フカフカの革張りの椅子。それが前後と右側についてる。 「これ、なんかのギャグ?」 直江にシャンパンを渡されて乾杯してから車がゆっくり発進した。素晴らしい性能の車のようで、振動なんかほとんどないに等しい。 「……か、かっちょいい……」 呆然としてたら運転手さんの声がスピーカーから聞こえた。運転席と乗車席はパネルで仕切られててマイクで話すようになってるらしい。 『お時間までまだありますから都内の景色のいい所を通ってからコットンクラブに到着します』 直江は当たり前のようにしてる。こうゆうの慣れてるのかな? 「これって普通のことなの?」 それから車は都内でも夜景のきれいなところをいくつか回って、目的地のコットンクラブへ。 コットンクラブはコッポラの映画にもなった有名なナイトクラブだ。クラブっつっても若者が集まって踊るとこじゃない。 コットンクラブの入ってるビルに着くと運転手さんがドアを開けてくれた。お出迎えはパリで会ったジャンと、日本支社の広報らしいお姉さんだった。 「わー、久しぶり~、ジャン元気だった?」 直江が通訳してくれてジャンは日本語で「ゲンキゲンキ」と言ってくれた。それから広報の女の人に直江の恋人って紹介したようだった。 「では入りましょうか。皆さん続々ご到着ですよ」 動きやすいドレスを着たお姉さんはオレたちをコットンクラブ専用エスカレーターに案内してくれた。 「どうしたんですか?」 薄暗いクロークのある通路を抜けて、赤絨毯が敷かれたところを通るとそこはキラキラした小さなスペースだった。 「え?これ?」 トイレはかろうじて普通で緊張が解れた。ま、キレイではあるけどさ。 「高耶さん」 タバコを消しながらオレに向かって手を差し伸べる。これじゃオレじゃなくても直江に夢中になるなあ。 「そろそろ入りましょうね」 金色のピンバッジをスーツの襟につけてもらった。なんだ? 「これは『賓客』の目印です。要は特に大事なお客様ってことです。ジャンやうちの事務所の人間はあなたが私の恋人だって知ってますけど、そうじゃない人は年齢や服装で判断しますから、一応ね」 直江に手を繋がれて重厚なドアを開けて入った。ちゃんと席があってみんな自分の席に座ってるみたい。 「オレ、こんな席でいいの?」 隣りのボックス席にはこれまたオレでも知ってる有名な陶芸家。先鋭的な陶芸で世界中からオファーのくる超有名人。 そんでオレの席にはタチバナヨシアキ……。 「ここってもしかして、一番いい席?」 やべえ、失神しそう。 「鮎川さんとかは?」 そうか。いなくなる時間てどのぐらいなんだろう?ずっといなかったらオレ帰りたくなるかも。
パーティーが始まる直前に千秋とねーさんがやってきた。今日は二人とも超オシャレしてきてる。 香水のメーカーの日本支社の社長がステージに立って挨拶を始めた。 アジア人こそつけてもらいたい香りだから、これからはアジアでの宣伝に力を入れて行くんだって。 「じゃあ私の出番なので行ってきますね」 直江がオレの髪の毛をふわっと触ってから席を離れてステージへ。 「どうよ、彼氏がステージでキラキラしてる心境は」 直江が「こんなに素晴らしい商品のモデルとして使ってもらえて大変光栄に思います」とかなんとか挨拶してから乾杯になった。 「これからもっともっと売れ行きが伸びますように。乾杯!」 シャンパンは飲んだこともないような美味しさだった。もしかしてドンペリゴールドってやつか? 「うまいね」 それから直江のインタビューだ。ベテランらしき司会の男の人がインタビュアーらしい。 「タチバナさん、今回は思い切ったポスターでしたけどやっぱり恥ずかしかったですか?」 どっちもオレ見てたから知ってる。撮影の時は思い切りよく脱いでたけど、耳が赤かったし、ポスター見た時は穴を掘って入りたいって言ってたし。 「でもヨーロッパでは芸術性が高いと評判なんですよ。絵画のようで美しい、と」 前に直江は言ってた。自分は常に脇役でいたいんだって。香水のポスターの主役は香水であって直江じゃない。 「これからも色々な仕事にはチャレンジしていきますか?」 それで大きな拍手が起こって直江はステージを降りた。 「俺もあんなこと言ってみてえ~」 直江はすぐにこっちに戻ってこなくて、いろんな席に行って挨拶をした。ほとんど一周回ったんじゃないかな? 「お疲れ様、直江」 コースで出てくるフランス料理はオレたちはモシャモシャ食べちゃったけど、直江のはテーブルに乗ったままだ。 「直江」 そこにやってきたのはモトハルさんだった。 「気にしないで食ってろ。俺が勝手に喋るから。おまえもなんか立派になったよな~」 へ?!オレ?! 「あー、えーと、オレにはまだよくわかんなくて。家での姿を見てるとどうも……」 直江はオレとモトハルさんの話を笑いながら聞いて楽しんでた。これこれ、オレの好きな顔!! 「長秀くんも今度ウチのショーに出るんだよな?」 千秋のテンパった姿を見たのは初めてなような気が。図々しい千秋でもモトハルさんに対しては緊張すんだな。 「おお、仰木くんも俺と同じピンバッジか。そうだよな。今日は直江のステディってことで来てるんだもんな。特別な来賓てことか。直江は仰木くんには本当に甘いなあ」 モトハルさんはオレと直江を見比べてから、「これからも直江をうまく操縦してくれよ」と言ってから去った。 それから少し酔っ払ってきて、隣りのボックス席の超有名陶芸家のおじさんと話したりした。 「じゃあ全部の瓶を作ってるんですか?」 おじさんは懐から二枚のチケットをくれた。今度の個展のチケットだって。タチバナさんと一緒においでってさ。 「ありがとう~!!嬉しい!!絶対行きます!!楽しみだな~」 酔っ払ってなければこんな言い方できないよ、オレだって。
オリエンタルミュージックもよくて、お酒も美味しくて、ご馳走もおいしくて、直江も隣りにいてくれて、すごく楽しいパーティーになった。 「直江、もう帰る?」 直江に連れられてトイレに。並んでオシッコするの初めてかもしれない。 「おい!」 酔ってフラフラなオレを直江と千秋でエスカレーターに乗せて、外に出るとリムジンが。 「これで帰るの?」 リムジンは広いんだから千秋もねーさんも乗せてあげればいいのに、と言い掛けたんだけど、直江は今日は特別な日で、その日にオレを同伴できたってことですごく嬉しいんだ。 「直江、乗ろう」 エスコートしてもらって乗って、直江に寄りかかった。窓を開けて千秋たちに手を振って。 「チューしていい?」 何度かチューして、ピッタリくっついて、夜景と直江を見ながら帰った。直江もオレのことずっと見てた。
で、帰ったら直江はオレをソファに座らせて、一枚一枚脱がせてくれた。いや、脱がせた。 「直江ってかっこいい……」 世界中でも5本の指に入るオーラで魅せるモデル。その通りかもしれない。 「あなたが私を特別にしてくれたんですよ」 エッチはあくまで優しく。 オレが直江を特別にしてるなら、直江もオレを特別にしてくれるんだ。
おわり
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ぜひコットンクラブの HPを見てください! ゴージャスです! かっこいいです! |
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