テレビを見てたら気になるCMが流れた。シリーズもののゲームの最新作だ。
今回は新しいキャラクターも加わって、技も増えて、ストーリー性も重視されるみたいだったから、財布の中身と相談して買いに出かけた。
押入れに封印してあった直江のプレステ2を引っ張り出して、リビングのでかいテレビに繋いで準備完了。
午後イチから夕方まで遊びに遊びまくった。
「おお、やべえ。夕飯の買い物に行かないと!!」
うっかり遊びすぎちゃった。もしこれで夕飯作らないなんてことになったら奥さん失格だ。
急いで買い物に行かなきゃ。
で、買い物して料理して、直江の帰宅になった。
「おかえり~」
「ただいま」
玄関でチューしてから直江と手を繋いで寝室に。着替えを手伝ってからリビングで直江を一休みさせた。
その間にオレは料理の仕上げ。
「今日の夕飯は何ですか?」
「肉じゃがとサラダとお刺身。ちょっと時間なくて手抜きしちゃったけど」
「時間が?どうして?」
「んーと、新しいゲームに夢中になってて……あ、歴史もののゲームだから直江もたぶん一緒にやれるよ」
「そうですか。じゃあ夕飯が終わったらやりましょう」
楽しく話しながら夕飯を食べた。いつもは直江がビールを少し飲むけど、今日はゲームをやるからって飲まなかった。
旦那さんは歴史のことになると酒も断つ。酒はあんまり飲んで欲しくないからオレとして嬉しいけど……。歴史のためってのがちょっとなあ……。
「それでどんなゲームなんですか?」
「歴史のシュミレーションゲーム。自分の国を大きくしていくやつ」
アレコレと説明すると直江は興味深そうに聞いてくれて、やり始めたらオレより夢中になった。
一緒に考えながら進めて、直江が苦手な戦闘シミュレーションのところはオレがやって、オレが苦手な政治のシミュレーションは直江がやった。
夫婦で協力しながら出来るって面白いな~。
「面白いですね、これ」
「だろ?そろそろ休憩する?コーヒーでも作ろうか」
「お願いします」
コーヒーを作って直江に渡して、オレはちょっと休んだ。直江がやってる間にパッケージに入ってたアンケートハガキを
見たら、抽選で図書カードが当たるって書いてあったから記入してみた。
「えーと、『このゲームの発売をどこで知りましたか?』か。テレビCMに丸つければいいのかな……」
それから、シリーズは全部持っているか、とか、値段はどうだったか、とか、そういうアンケートに答えていって最後に住所や名前を書いておしまい。
たまに簡単なアンケートに答えるのは案外楽しいもんだな。
「高耶さん、とりあえず隣国を制覇しましたが」
「あ、もうそこまで進んだんだ?じゃあ今夜はこのへんにしとこう」
「……明日、私がいない間に進めるんですか?」
「……オレは別のデータで遊ぶから、直江は今のの続きをすればいいよ」
「はい♪」
どうやら思ったよりもハマったらしい。直江に歴史モノのゲームは猫にマタタビみたいなものか。
「直江、ゲームは1日2時間までだからな」
「わかってます」
さっきのアンケートにも1日何時間やりますかって項目があったな~。
ウチは2時間だ。直江だけ。オレは6時間だけど。
翌日、オレはアンケートハガキを持って買い物に行き、ポストに投函してきた。図書カードが当たったら直江に歴史の本をプレゼントしてやろうかな~。
「あ、そうだ!!」
直江にもアンケートやってもらおう!
アンケートってのはやっぱりユーザーの求めるものを作るためにあるんだから、たまには我が家のユーザー、というか旦那さんが奥さんに満足してくれてるかを調べないとな。
家に帰ってレポート用紙を出してアンケートを作った。
項目は……
1、奥さんの料理はどうですか?
2、掃除はどうですか?
3、洗濯はどうですか?
4、奥さんの容姿は気に入っていますか?
5、奥さんの服装は好きですか?
6、家でリラックスできていますか?
7、奥さんとのエッチには満足していますか?
まあ、こんな感じで20項目ぐらい作った。我ながらうまく出来たアンケートになったと思う。
これを直江に渡して回答を貰おう。そんで悪いところを直せば夫婦円満のヒントにもなるってもんだ。
オレってなんて努力家なんだろう!
それから張り切って夕飯を作って、あとは旦那さんが帰ってきて食べるだけになった。
「早く帰ってこないかな~」
「高耶さん、ただいま」
「帰ってきた!!」
玄関まで走って行って、直江におかえりのチューをした。ついでにギューギュー抱きついた。
「どうしたんですか、そんなに甘えて」
「旦那さんが帰ってきたから嬉しいんだよ」
「私も奥さんの顔が見られて嬉しいですよ」
イチャイチャしながら寝室へ。昨日よりももっと甘えながら、着替えもオレがほとんどしてやった。
「ネクタイ、オレが外す」
「じゃあやってみて」
かっこいい旦那さんによく似合う薄い黄色のネクタイを外した。シャツのボタンも1個ずつ外して、ベルトに手をかけて……
「そこまでしなくていいですよ。そんな仕草されたら今すぐ襲っちゃいそうですから」
「ん~、それは困る。せっかくの夕飯が冷めちゃうから」
「じゃああとは自分で着替えます。高耶さんはダイニングで待っててください」
「うん」
こんなラブラブ夫婦ならアンケートも満点かもしれないな。高耶さんはなんでも合格点ですね、とかなんとか!
ウキャー!!
夕飯を楽しく食って、風呂に入ろうとした直江をいったん引き止めてアンケートを渡した。
「なんですか?これ」
「アンケート。答えてくれたら抽選で奥さん特製のセクシー写真集が貰えるよ?」
「せ、セクシー写真集ですか?ええと、どの程度の露出があるんでしょうか?」
「うーん、たぶん……18歳未満は買えないようなやつ」
「書きます!!」
旦那さんは必要以上に意気込みながらアンケートに記入していった。
ふむふむ、とか、うーん、とか言いながら。
結構長い時間かけて書いてたから、きっと内容も充実してるはずだ。よしよし。
「アンケート書けました!」
「じゃあ回収~。抽選結果は発送にかえさせていただきます」
「え?発送?」
「うん、当たったら送られてくるってやつ?抽選が楽しみだな?」
「……全員プレゼントじゃないんですよね……?抽選ですよね?何名様に当たるんですか?」
「……1名様かもしれないし、0名様かもしれないし……」
「当たることを信じて待ってます」
それでは直江のアンケートを見るとすっか。どれどれ……。
「ダメですよ。回答者の前で読んだらアンケートとは言えないでしょう?」
「えー、そんなことないよー」
「とにかく私のいないところで読んでください」
「じゃあ後で一人で読むよ」
そのあとすぐに直江が風呂に入ったから、アンケートを読んでみた。
まず項目その1、奥さんの料理はどうですか?「大変満足」。
『カレーライスとトマトのスパゲティが特に美味しい。でも他のメニューもすべて美味しくてこのままでは太ってしまうので頑張って運動します』
項目その2、掃除はどうですか?「大変満足」。
『いつも家を大事にしてくれてありがとうございます。私も負けないぐらい高耶さんを大事にしますね』
項目その3、洗濯はどうですか?「大変満足」。
『毎日気持ちのいい服を着せてくれてありがとう。あなたの真心に包まれているようで仕事にも張り合いが出ます』
その4、奥さんの容姿は気に入っていますか?「大変満足」。
『笑った顔も怒った顔もチャーミングで愛しくて、何時間でも見ていられるし、体つきも細身で抱きしめると全身が私の中にすっぽり入り、まるで私のために作られたかのようです』
その5、奥さんの服装は好きですか?「大変満足」。
『清潔感があり、センスが良く、素朴に着こなしているところは天才的です。いつも可愛い服装で毎日がときめきです』
その6、家でリラックスできていますか?「大変満足」。
『あなたのいる場所が私にとって一番安心できるところです。こんなにも充実したリラックス空間はこの世のどこにもありません』
その7、奥さんとのエッチには満足していますか?「大変満足」。
『世界中のどこを探しても高耶さん以上にエッチの相性がいい人はいないでしょう。もう私は高耶さんなしの夜は考えられません』
とまあ、こんな調子で進んでいった。ところがさ~。
その17、奥さんと自分の実家の関係はどうですか?「やや不満」。
『母が高耶さんにつらく当たるようなことが起きるのは私の旦那さんとしての未熟さから来るものなのだと思います。立派な旦那さんになれるよう頑張ります』
その18、奥さんの実家との関係はどうですか?「やや不満」。
『俊介さんはとても可愛くて私は自分の子供だと思えるほど大事です。しかし義父、義母、義妹との交流がうまくいきません。高耶さんの進学費用を旅行につぎ込んだり、学校に突撃してきたり、家族旅行に誘いながら子守を押し付けたり、どうも私の常識とは合わないようです』
うーん、確かにそうだ。直江が「やや不満」にしたのもわかるぞ。
ん?まだ続きがあるのか。
『しかしそういう家族だったからこそ、高耶さんをお嫁さんにできたのだと思うと『まあまあ満足』にしてもいいような気が
します』
なるほど。
それもそうか。あの非常識さがあったからこそ結婚できたんだもんな~。こういう評価でいいとしよう。
我が親ながら悩まされるから直江の気持ちはよ~くわかる。
その19、奥さんは優しくしてくれますか?「やや満足」。
『無回答』
…………なんだと?!やや満足?!オレは常に優しくしてやってんじゃねーか!
もう直江のお願いは何でも聞いて、直江のやることは黙ってみてる、理想的な貞淑な奥さんじゃ……ねーか。
直江のお願いなんかあんまり聞いたことない。聞かないから直江も言わない。
直江のやることを黙ってみてるのは、歴史とかオレが興味ないことばっかしやるから黙ってるしかないだけで。
うーん、そーいやオレって直江にあんまり優しくないな。
しょうがない、今度から優しくしてやるか~。
さてと。最後の質問だ。
その20、奥さんに愛されていると感じますか?「大変、超、爆裂に満足」。
『奥さんが私を愛してくれているのは日々のちょっとした小さなことからでもわかります。ふかふかのタオルであったり、ピカピカの靴であったり、疲れている日のミルクコーヒーであったり……たまのお小言や、ゲームは2時間という決まりごとも愛されている証拠なのだといつも思っています。こんなにステキな奥さんを貰った私は幸せ者です』
くー!直江!なんていい旦那さんなんだ!!
愛してるぞ!!あいらーびゅー!!じゅてーむ!!うぉーあいにー!!いっひりーべでぃっひ!!
「直江!!背中流してやる!!」
アンケートを放り出して走ってお風呂場へ。泡アワの裸の直江に抱きついてスリスリした。
「な、何してるんですか?」
「背中流してやる!」
「え、ええ、お願いします。でも高耶さん、服がびしょ濡れですけど」
「そんなのいいの!」
スポンジをひったくって直江の背中をゴシゴシした。
今日は大サービスだ!いつもの倍の力で洗っております~!!(そめのすけ・そめたろう風にな!)
「いっ……」
「ごしごし~、ごしごし~」
「……う、ぃ……痛い……です……」
「気にしない、気にしない!奥さんの愛情がたっぷりつまったゴシゴシなんだから!!」
「はあ……いぃっ!」
上機嫌でゴシゴシしてやって、シャワーで洗い流すと奥さんの愛情のせいか背中を真っ赤にして照れてやがった。
まったく直江ってばオレのこと大好きなんだから~!もう、この愛妻家め!!
「そろそろ出ますけど」
「うん」
「高耶さんはお風呂このまま入りますか?」
「うーん、そうしよっと。直江は先に出ててくれな?」
「はい」
今日はキレイに体を洗って直江とエッチすんだもんね!
「高耶さん、お願いがあるんですが」
その日の夜中、直江は歴史ゲームを2時間堪能した。すげー幸せそうな顔をしながらシミュレーションしてた。
まったく歴史オタクってのは。
「なんだ?」
「……あと30分やらせてください」
「え~?」
珍しく延長を申し込んできた。でも今日はエッチする予定だし、そろそろやめて欲しいんだけど。
それにゲームは2時間て約束だからなあ。
「2時間で終わりにしなきゃダメ!この2時間てのは、直江の生活を脅かさないギリギリの時間なんだ。だからもう終わりにして」
「……あと30分なんです!30分で一国を奪えるかもしれないんです!」
「ダーメ。ゲーム2時間はオレの愛の一部なんだぞ」
そう言うと直江は「うう」って唸りながらコントローラーを手放さずに蹲った。
強行作戦に出るのかもしれない。
「あと30分で天下が見えてくるのに……だから高耶さんの優しさの項目は『やや満足』なんですよ……」
「はっ!」
そうか!このへんがオレの優しくないところなのか!
旦那さんに『やや満足』なんて言われる奥さんなんて、オレの人生設計には出てこないのに!
ここは大人しく30分譲るしかないのか~?!
だけどオレは愛しい旦那さんとエッチがしたい。今日は絶対にしたいったらしたい。
「……でも……エッチする時間がなくなっちゃうもん……」
「え?」
「今日はアンケートがすごい嬉しかったから直江とエッチしたいんだもん……」
「あ……」
「直江は奥さんと天下とどっちが大事?天下の方が大事なら、オレは直江の政策に従うしかないけど……」
ん?なんかゲームと現実が混ざってきたぞ?
「天下よりも高耶さんの方が大事に決まってるじゃないですか!高耶さんのいない天下はダシの入っていないお味噌汁
のようなものですよ!」
「じゃあもうゲームやめてエッチしてくれる?」
「当然です!!」
と、いうわけで、チューしてから寝室に行った。
うーん、直江に優しくしてやらなきゃいけないのに、結局オレがワガママ言ったなあ。
どうしたら旦那さんに優しくして『大変満足』をゲットできるんだろうか?
で、オレは次の日1日使って考えた。何をって直江に優しくする方法だ。
例えばどんなのを優しいってゆーのか?
落ち込んだ旦那さんを母親のように元気付けたり?無理。基本的に直江はめったに落ち込まないし、オレは母親のようにはなれない。
旦那さんのワガママをハイハイって大人しく聞いてあげたり?無理。だって直江のワガママって、たまにしか言わないぶん、オレの10倍ぐらい無茶だから。
どうしたらいいんだ?こうなったら直接本人に聞くしかないか。
「なあ、直江。昨日のアンケートで奥さんの優しさについて『やや満足』だったじゃん。超満足になるにはどう優しくしたらいいわけ?」
「……ずいぶん直接的な質問ですね」
「だってわかんないんだもん。直江にもっと優しくしたいけど、どうしたらいいかサッパリわかんない」
じゃあちょっと話し合いましょう、って言われてリビングのラグの上にクッションを置いて向かい合わせに座った。
そんで直江はなぜかオレの両手を取ってキュッって握った。
「実を言うと高耶さんは私にそんなに優しくしなくてもいいんです」
「え~?なんで~?そんなのヤダよ~。それに昨日はゲーム2時間制限で『優しくない』って愚痴ってたじゃんか」
「ええと、それは単に私がゲームを続けたい子供っぽい気持ちから言っただけで、冗談みたいなものです。それに私は高耶さんがワガママを言って、たくさん甘えてくるのが好きなんですよ。そんな高耶さんに優しくするのが好きなんです。優しくするのは私の仕事で、高耶さんは甘えたりワガママ言うのが仕事です」
「だから『やや満足』?」
「はい」
とびっきりの優しい笑顔でオレを見て、手をさらにキュッって握って、その手を唇に持ってってチューしてきた。
うう、こうゆうのオレ弱いかも……。
「でも優しくしたいよ?」
「そうですか……じゃあ、たまに私が言う小さいワガママを聞いてくれれば『大変満足』になりますから、そうしてください。ゲーム30分延長とか、その程度でかまわないので」
「……うん」
「ではさっそく」
笑顔も、手も、オレから離れて直江はプレステ2の電源を入れた。
は?もしかして今から歴史シミュレーションゲームすんの?
「今日の目標は隣国の制覇と兵糧の確保と重要人物の寝返りを成功させることです。これが出来れば明日には天下取りが見えてきますから」
「…………」
「今日の目標を達成するにはたぶん2時間半以上かかります。ねえ、高耶さん。今日は2時間半やらせてくださいね」
「…………」
怒るな、オレ。
直江に優しくするって決めたじゃんか。そうだよ、ゲーム時間延長なんて些細なことさ。オレが6時間で直江が2時間てのがそもそもおかしいんだから、直江にもたくさんやらせてやんなきゃいけないじゃん。
そして2時間半後。
「ああ!寝返りに失敗した!贈り物をして気を引いておくか……今度のターンで寝返りさせるぞ」
「……ええと……旦那さん?」
「はい、なんですか、奥さん」
「……2時間半経ちましたが?」
「あともう少しで今日の目標達成なんです。30分延長してください」
ゲーム時間が3時間になるってことだよな?
うーん、『やや満足』から脱却するにはここでOKを出せばいいわけか。
って、許せるわけねーだろうが!!
「ダメ!!」
「ええ?!だって優しくするって」
「奥さんが3時間も放置されてるってのに気が付かないのか!おまえはゲームと奥さんとどっちが大事なんだ!!」
「だから高耶さんですよ!」
「その奥さんをガッカリさせるのはどこの誰だ!ああ?!おまえか?!それともこのゲームか?!」
薄っぺらいプレステ2を右手でグワシと掴んで頭上に掲げた。ピーンと張った電源コードを見た直江が蒼白になった。
このままコードが抜ければ苦心してやった今日の分のデータが消えるんだろうな~。
「やめてください!!それだけは!!今日はもう終わりにしますから!!」
「今すぐだ!!」
「はい!!」
オレの手の中のプレステ2をチラチラ気にして見ながら、慌ててデータをセーブした。
ハッキリ言う。情けない。優しくしてやる価値もないほどに。
高校の先生で、顔も超ハンサムで、体型もモデル並みで、頭脳明晰で、性格も温和で優しくて、欠点なんか探さないとみつからないぐらいの男なくせに、今の直江は世界一情けない。
「……で、電源、もう切っていいです……」
「ふん」
電源コードを引っこ抜いて終わりにした。
直江はコントローラーやら電源コードやらをまとめてテレビ台の中に収納しながら、オレの機嫌をコソコソと伺ってる。
奥さんは怒らせたら世界一怖いってことを再認識したようだ。
「おい」
「は、はいっ」
「そろそろ寝る。直江は戸締りとガスの元栓と電気の点検してからベッドに来るように」
「はい」
後を直江に任せて寝室へ。着替えてベッドに入ってたら直江が来た。
「ご苦労」
「はい……あの、高耶さん」
「なんだ?」
「ごめんなさい……」
しゅんとなって小さな声で謝った直江はすげー可愛かった。大きな犬が耳を垂れていじけてるみたい。
こうゆうの見ちゃうと旦那さんが奥さんを愛してるってのがよ~~~くわかるんだよな~。
「もういいよ」
「許してくれますか?」
「うん。だから早くベッド入れば?」
「……はあ……」
遠慮がちに入ってきた旦那さんが背中を向けて寝たから、オレはちょっと不満でその背中にへばりついた。
いつもと反対にオレがギューしてやって、首筋にチューした。
「愛してるよ?」
「……高耶さん……」
「けどオレのこと一番に考えてくれないと許さないからな。わかったか?」
「わかりました」
寝返ってこっちを向いて、いつもの直江のチューをしてもらって抱きついた。
「大変満足、です」
「ん?」
「奥さんは本当はすごい優しいんだな、と思ったので。これで『やや満足』から『大変満足』になりました」
「そっか」
そんなわけでオレはアンケートで超いい結果を得た最高の奥さんになった。
自分でもやり方は強引だと思うけど、それはほら、うちの旦那さんの操縦はオレしか出来ないっつーことで。
明日からもいい奥さんでいるために頑張るぞ~!!
ちなみに、アンケートハガキの抽選の図書カードはハズレた。悔しいから直江が答えたアンケート抽選の奥さんの写真集もハズレになった。旦那さんに催促されたけど抽選は0名様ってことになったからってゆったら超落ち込んでた。
「私の苦労が」とか言ってたけど知らん。バカだ。
END |