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奥様は高耶さん |
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クリスマスはイブは家で旦那さんと手作りディナーでお祝いして、翌日のクリスマス本番は予約してあるレストランで豪華ディナーの約束をしてる。
んで23日、オレは翌日の夕飯の食材を直江とジャスコに買いに行った。直江のリクエストを何でも作るって言ったのに、直江は奥さんが作るものならどんなものだっていいんだってさ。うひゃー愛されるなあ! そんな23日の夜。直江と夜のイチャイチャをしてるところに電話が来た。 「も~、いいところで~」 いつもいいところで電話が鳴るのは悪い予感の前触れだ。 「私が出ますよ」 直江が電話に出るとどうやら橘のお義母さんからみたいだった。 「は?!結婚式は28日だったでしょう?!」 師走ってことで橘のお義父さんと次男のお義兄さんは忙しくて行かれないから、直江が親戚の結婚式にお義母さんと一緒に新幹線で行く予定だったんだけど。 「25日ってなんですか!間違えた?嘘でしょう?!」 ……もしかして。 「24日は高耶さんと過ごせますが……25日は終業式が終わり次第宇都宮に……」 がーん!レストランが!! 「ごめんなさい、高耶さん!でも24日はしっかり旦那さんとしての勤めを果たします!」 レストランなんかより直江と一緒のクリスマスが大事なのに~。 そーゆーわけでオレは諦めて24日にすべてを賭けることにした。 「どーしたの?」 母さんがリビングでぶっ倒れてた。横で俊介がギャンギャン泣いてる。 「熱が……もうお母さん死んじゃうかも……」 とりあえず俊介を抱っこしたらオムツが重たくなってた。それで泣いてたのか。 「ただいま~」 学校から帰ってきた美弥に俊介を渡して後を任せて帰ろうとしたら拒否られた。 「だって美弥、俊ちゃんのことほとんど出来ないもん」 そうだよな~。赤ちゃんがインフルエンザになったら生死に関わるもんな~。 「んじゃ母さんのこと頼むぞ」 俊介を連れて商店街に行って、直江のプレゼントを探した。ドンキで健康グッズ一式を買う予定だったのに。 「くちゅんッ」 俊介がくしゃみをした。なんて可愛いくしゃみなんだ!そうだ!直江のプレゼントは防寒グッズにすっか! 家に帰ってから俊介をベビーチェアに座らせて夕飯の支度。今日はエセフレンチだ。 「俊介のぶんもちゃんとあるからな~」 夕飯の支度をしてると直江の帰宅。玄関に迎えに行ってギューしてチューした。 「ベビーカーがありますが」 直江は急いで着替えてきて俊介を抱っこした。俊介も直パパに抱っこされて嬉しそうだ。 「もうすぐ夕飯できるからな~」 ロマンチックとは程遠いクリスマスになったけど、親子(?)でほんわかムードのクリスマスになった。 「……あの、高耶さん」 それに今日は母さんを病院に連れて行ったり、プレゼントの買い物でウロウロしちゃったり、ディナーの用意で頑張っちゃったし、疲れてんだもん。 「おやすみ~」 ちょっと可哀想だったかな?ま、いいか。 そんで直江は翌日は学校終わってから宇都宮に。オレは俊介と留守番だ。
それから直江は冬休みに入ったけど、相変わらず学年主任は忙しいみたいで毎日学校だ。 「ヘトヘトだな」 明日は大晦日。直江とオレのお正月はもうすぐだ。 「そうですね。しばらくお預けだったエッチもできますね」 いい雰囲気でチューしようとしたらまた電話が。 「居留守使いましょうか」 直江が電話に出るとまたもやお義母さん。 「今度はなんですか。え?インフルエンザ?誰がですか?お父さんと兄さんですか?二人とも?」 おいおいおい! 「ええ、わかりました。行けばいいんでしょう」 今度は何を直江にさせる気なんだよ~!! 「高耶さん……実家の寺がインフルエンザで壊滅状態だそうです……」 直江は先生だけどお寺のことも色々できる。お経も読めるから法事ぐらいならできる。 「……で?」 行くわけねーだろ!!お義母さんに意地悪ばっかりされるんだから!! 「奥さんはお正月は実家に帰らせてもらいます。旦那さんも実家で楽しく過ごしてくださいマセ」 直江なんか実家でこき使われて、ついでにマザコン全開でヘコヘコしてくりゃいいんだ。 「あー、俊介と初詣行ったりすんの楽しみだな~。クリスマスもお正月もお兄ちゃんと一緒で俊介もきっと嬉しいだろうな~。クリスマスも!お正月も!なんて!!」 とうとう直江が泣き出した。マジ泣きだ。 「私も高耶さんと過ごしたいんですよ!でも仕方ないじゃないですか~!」 これは結婚生活のピンチってやつかもしれない。だけど奥さんはメチャクチャ怒ってるからピンチだろーがなんだろーが知ったこっちゃねえ!
超怒ってたけど実家で大晦日とお正月を過ごしてみたら案外楽しかった。 「高耶、今日義明くんが帰ってくるんでしょ?」 放置してたら夜に直江が迎えにきた。7日まで一人でいることに耐えられなくて迎えに来たそうだ。 「すみませんでした……」 オレの答えに直江は愕然とした。この世の終わりを知ったときみたいな。なんで? 「なに?」 直江の顔色がどんどん悪くなっていく。どうしたんだろ? 「直江?」 そうか?普通に受け答えしたつもりなんだけど。 「このまま別居で、そのうち離婚なんてことは……」 ええー!!なんで?! 「直江、待て!」 グスンと鼻を鳴らして出てってしまった。ちょっとどうゆうこった!! 「直江!!」 急いで追い駆けて直江の背中に貼り付いてギューってした。 「離婚しない!!」 ようやく理解というか、オレの話を聞いたようだ。 「本当ですか?」 道端でギューしてチューした。 「帰りましょうか」 いったん実家に戻って家族に帰るって言ってコートを着て、直江と手を繋いで帰った。 「直江?」 あ、そうか。25日の結婚式から直江はほとんど休みなく働いたりしてるんだっけ。 「ごめんな~」 眠った直江をリビングに引きずっていって、ラグの上に寝かせてから布団をかけてやった。 「もしかして疲れてたから妄想グルグルが始まったのかな?」 それもあるんだろうな。じゃあオレは奥さんとして直江を癒してあげなくちゃな! 直江が寝てる布団に一緒に入って頭を撫でたりチューしたりしてみた。いつも俊介にしてやってるみたいに。 「でかい赤ん坊だな」 寝言でもオレのことばっかりだ。なんて可愛いやつだ。俊介なみだ。 「明日はたくさんイチャイチャしよーな」 クリスマスもお正月も二人きりで過ごせなかったけど、普段は毎日二人きりで暮らすんだから今回はもういいや。
1月4日。ぐっすり眠って元気になった旦那さんとようやくお正月イチャイチャを始めたとき、また電話が。 「………………居留守でいいですか?」 ガンガン鳴る電話をシカトして旦那さんとチューだ。 「もう邪魔はさせません」 やっぱ旦那さんと過ごす時が一番幸せ。
END
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あとがき |
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