奥様は高耶さん



番外


直パパとしゅんちゃん

 
         
 

 

ボクはみんなにしゅんちゃん、とか、しゅんすけ、とか呼ばれてる。
だから名前はしゅんすけ。だと思う。

ママはあったかくて面白くて優しい。
パパは面白くて強くてかっこいい。でもたまにコラッって怒る。
お姉ちゃんはたくさん遊んでくれる。

でもしゅんちゃんにはもう1個おうちがあって、時々そっちのおうちに行く。
そのおうちにはお兄ちゃんがいて、優しくてかっこよくてママみたいにいろんなことができる。
それともう一人パパがいる。直パパってゆーパパらしい。
直パパは大きくて一番優しくて、たくさん遊んでくれて、甘やかしてくれて大好き。
お兄ちゃんの旦那さんなんだって。

 

今日はベビーカーに乗ってお兄ちゃんのおうちに行った。
ママはこれからお出かけしちゃうから、お兄ちゃんのおうちで遊んでなさいってさ。

「高耶〜、俊介預かって〜。お母さん、お友達と買い物に行くから〜」

お兄ちゃんの名前はたかやってゆうんだ。たかやお兄ちゃんだ。

「いいけど、何時ぐらいになりそう?」
「ちょっとわかんないのよね」
「別にいいけど。俊介のオムツやら哺乳瓶やらは揃ってるし」
「じゃ、よろしくね」

しゅんちゃんはお兄ちゃんのおうちが大好き。広いし、床はあったかいし、オモチャもたくさんあるし、いたずらしても怒られないし、しゅんちゃんの椅子もあるし。

「俊介、今日は何して遊ぼうか〜」
「ブーブー」
「車のオモチャがいいか?」

お兄ちゃんはしゅんちゃんが何で遊びたいかすぐわかってくれる。
お気に入りに赤い車を出して温かい床でブーブーしてくれた。しゅんちゃんの車は白いのもあるし、黒白のもある。

車に飽きてゴロンしたら、今度はテレビを見せてくれた。しゅんちゃんはお兄ちゃんのお膝に乗ってテレビ見るのが好き。
テレビで虫の子が大冒険をするのを見て、しゅんちゃんはドキドキハラハラ。お兄ちゃんも「大変だー」とか言ってしゅんちゃんの手を持ってグルグルする。

それから虫の子のテレビは終わって、今度はテレビに出てるみんなが踊りを踊るやつになった。
お兄ちゃんのお膝の上でお尻を振って踊ってたら、抱っこされて立っちした。
しゅんちゃんはまだ立っちできないけど、パパもママもお姉ちゃんもお兄ちゃんも直パパも、みんなこうやって抱っこしながら立っちさせようとしてくれる。
だからテレビの子たちと一緒に踊った。
楽しかったー。
でも疲れちゃったな。

 

ご飯はお兄ちゃんの作ったうどんだった。お兄ちゃんのうどんはママのと違ってしょっぱくなくて美味しい。
直パパがしょっぱいのが食べちゃダメなんだって、直パパのママのバアバが言ってた。
アーンしてお兄ちゃんに食べさせてもらって、全部食べた。いい子いい子ってしてくれた。
しゅんちゃんいい子だもん。

お兄ちゃんがうどんを食べてるのをちょっと見てたらネムネムになってきた。

「俊介、眠いのか?」
「ふわー」
「じゃあお昼寝しようか。ちょっと待ってろ」

しゅんちゃんを抱っこしてソファにネンネさせてから、お兄ちゃんはしゅんちゃんのお布団を出して床に敷いた。
ネムネムなしゅんちゃんをお布団に寝かせてフワフワな毛布をかけてくれた。

「おやすみ、俊介」
「ぶー」

お兄ちゃん、大好き。

 

 

 

しゅんちゃんのおめめが覚めたらお兄ちゃんがお出かけの用意をしてた。

「お、起きたか。これからお買い物しに行くぞ。夕ご飯は何がいい?」
「まんま」
「まんまかー。じゃあドリアにでもしようか」

しゅんちゃんのあったかいお洋服を着て、直パパとお揃いの手袋をしてお兄ちゃんとお買い物。
ベビーカーに乗ってると知らないおばちゃんたちがしゅんちゃんを可愛い可愛いって褒めてくれる。
しゅんちゃんは可愛いんだもん。

お兄ちゃんといろんなお店に行ってお買い物して、直パパには内緒なってゆって茶色い甘いお菓子を食べた。
あったかくて、フワフワで、中にしゅんちゃんの好きなアンコが入ってるやつ。今川焼きってゆうんだって。

おうちに帰ってからしゅんちゃんのオモチャでたくさん遊んでたら直パパが帰ってきた。

「バーブー!」
「ああ、俊介さん!いらっしゃい!」

直パパに抱っこされるの好き!!
でもお兄ちゃんが直パパに、着替えてお手々を洗って、ガラガラうがいしないと俊介に触っちゃダメ!って怒る。

「んーんー!」
「俊介に風邪の菌がついたら大変だろ?だから直パパがキレイキレイしてから抱っこだ」
「ぶー!」

早く早くー!直パパ、抱っこしてー!!

「お待たせしました!!」
「ダメ!先にオレにチューしてから!」
「はいはい。奥さんが一番ですよ」

お兄ちゃんにチューしてギューしてからしゅんちゃんのとこに来た。
直パパとお兄ちゃんはいつも仲良し。

「はい、俊介さん、抱っこしましょうね」
「キャー」

直パパは抱っこしてグルグルしてくれる。みんなグルグルしてくれるけど直パパのが一番速くて面白い。

「今日はどうしたんですか?ママはお出かけですか?」
「あぶ」
「そうですか。じゃあ直パパとたくさん遊びましょうね」
「最近の俊介は小さい怪獣だからな。怪我しないように注意しろよ」
「わかってますよ」

怪獣ってテレビに出てくるこわーいやつだ。しゅんちゃん怪獣じゃないもん!
直パパとたくさん遊んでたらお兄ちゃんがご飯できたって言ってボールごっこが終わっちゃった。

「今日はドリアとサラダしか作れなかったんだ。時間なくて。あと漬物とかでいい?」
「いいですよ。高耶さんの夕飯ならなんでもいいです」
「エヘヘー」

今度のご飯は直パパに食べさせてもらった。白いやつがマンマにかかってて、トロトロでおいしい。
お兄ちゃんのご飯は何でもおいしいな。

「俊介のは薄めて少し柔らかめに煮たから冷ましながら食わせろよ?」
「はい」

フーフーしてもらってしゅんちゃんにアーンしてくれる。直パパのお膝に座るのも大好き。

「この時間になっても迎えに来ないってことは、今日はお泊りかもな」
「じゃあ一緒にお風呂に入りましょう」
「んー、3人で入ろうよ」
「ええ、もちろん!!」

おうちでお風呂に入るとパパもママも遊んでくれなくて忙しくしちゃうからお風呂は嫌い。
でもお兄ちゃんと直パパと3人で入るとオモチャで遊んでくれるから好き。

アーンしてもらって全部食べたら直パパがいい子いい子してくれた。ご飯は食べるといい子になるんだ〜。
そしたら電話が鳴った。お兄ちゃんが出るとママからだったみたい。

「あ、そう。だと思った。今はご飯食べ終わって直江の膝で満足してるよ。声、聞かせてやったら?」

直パパに抱っこされて電話のとこに。出るとママの声がした。

『お腹いっぱいになったのね〜。俊ちゃんはいい子ね〜。今日はお兄ちゃんちにお泊りするのよ?』
「あーう」
『たくさん遊んでもらってね。じゃあね、おやすみ』
「うー」

ママのとこ帰りたくなっちゃった……。

「ふえ〜ん」
「あーあ、やっぱ母さんが一番か。お兄ちゃんだってこんなに俊介のこと好きなのにな〜」
「仕方がないですよ。赤ちゃんなんですから」
「直江、俊介貸して」

お兄ちゃんにギューするとママと同じ匂いがした。あったかくて優しくてママとおんなじ。

「よしよし」

しゅんちゃん、ママの次にお兄ちゃんが好き。

 

 

遊びながらお風呂に入って、面白くてクタクタになっちゃった。
お兄ちゃんと直パパとしゅんちゃんでたくさんチューもした。
寝巻きを着せられて俊ちゃんの椅子に座ってたらネムネムになってきた。

「俊介さん、おねむですか。じゃあ直パパとねんねしましょうか」

直パパに抱っこされてお二階のお部屋に。広いお部屋にはお兄ちゃんたちのベッドとしゅんちゃんのベッドがある。

「待って、直江。俊介は手が冷たくなると夜泣きするんだ。手袋するから」

お手々に丸い手袋をかぶせてしゅんちゃんはお布団の中に。フカフカであったかくて、しゅんちゃんはすぐにねんねした。

 

 

それからお兄ちゃんのおうちにずっといた。
フカフカのお布団で寝たのが3回目の時、お兄ちゃんと直パパがベッドのお布団の中でなんかやってた。
たくさんチューしてたから仲良しこよししてたみたい。

それで朝になっておめめが覚めて、直パパは朝からおうちにいて遊んでくれた。
ハイハイしてオモチャをコロンしたり、直パパに投げてみたけど怒らない。パパだったらすぐメッてするのに。
だからお気に入りの赤い車を直パパに投げた。そしたら直パパのおでこに当たった。

「いつつ……」
「キャッキャ!」
「……俊介さん……」

もう一回白い車を投げようとしたら直パパにおててを掴まれた。

「物を投げちゃいけません!」
「…………ふぎゃーーーー!!!!!」

直パパが怒った〜〜〜!!!怖いよ〜〜〜!!
お兄ちゃ〜〜〜ん!!

「どうした、俊介。直パパに怒られたのか?まったくもう、いたずらが過ぎるんだよ、おまえは」
「びえー!!」
「すいません、俊介さん!!」
「びえーん!!」
「直江はいいから離れてろ。もう、大人気ないなあ。俊介もいい子にしなきゃダメだろ」
「ふぎゃ〜」

お兄ちゃんとサンルームに行ってミルクもらって甘えた。

「直江、パパ失格。もっと勉強しろ」
「はい……」

やっぱりお兄ちゃんが好き。直パパ怖い。

 

 

 

今日はしゅんちゃんのおうちにお兄ちゃんと直パパが遊びに来た。

「元気でしたか。俊介さん」
「あーあー」

直パパだ!抱っこ、抱っこ〜!!

「抱っこ?じゃあ今日もグルグルしましょうね」

直パパ、大好き!!

 

END

 

 
   

あとがき

しゅんちゃんは
ワガママに育ちそう
な予感がしてきた。


   
   
ブラウザでお戻りください