奥様は高耶さん |
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もう俊介も1歳半になって、立ったかと思えば今じゃ歩いたり、マネをして喋ってみたりするようになった。 「にーに」 なんとオレをお兄ちゃんと認識して「にーに」と呼ぶようになったんだ!! 他にも美弥が「ねーね」で、母さんが「かー」で、父さんが「とと」だ。 「なぜ私だけ呼ばれないんでしょうか……?」 「直パパって呼ぶの難しいんじゃねえの?」 そんなどんよりした直江に電話がかかってきた。橘のお義母さんからだ。 「はい、橘です」 相変わらずこのババア……オレだけ目の仇にしてやがる。 「義明いるかしら?」 ちょっと前に俊介の立っちしてちょっと歩いたムービーを録画したやつを、直江が編集して仰木家と橘家にDVDを渡した。その感想の電話らしく、直江とお義母さんは俊介の話題で盛り上がってた。 で、電話を切る直前、直江がまたどんよりした。 「お義母さん、なんだって?」 橘のお義母さんは俊介をけっこう可愛がってて、オレのいない時間に実家に行って俊介と遊んでるんだ。 「どうして私だけ……」 寂しそうに背中を丸めて泣きそうになってる。せっかくのかっこいい旦那さんなのにこんな惨めな背中しちゃって。 「そう落ち込むことないって。もうちょっと大きくなったら発音できるようになるんだし」 あーあ、これじゃ直江が子供じゃんか。アホくさー。 「でも直江にはオレがいるじゃん?オレに好かれるのと俊介に好かれるのとじゃどっちがいい?」 実の兄弟であるオレと俊介だ。たぶん男の好みも一緒だ。 「本当にそう思いますか?」 オレをガッチリ抱きしめて直江は感激中だ。まったくもう、大人のくせに。 「また俊介のDVD見ようぜ」 俊介DVDはもう50枚ぐらいある。実家で録画したやつも、ウチで録画したやつも、外出して録画してきたものも。 「ちょっと前まではあんなに小さかったのにな〜。もうでかいよな〜」 オレがお母さんか……そしたらこのDVDもオレのおっぱいを吸ってる俊介になる……のかな? 「おっぱいあるってどんな感じなのかなあ?」 直江がいきなり考え込んだ。なんだ? 「触ってみたい、ということですか?」 そーいえば……直江はたくさんの女の乳を揉んだことがあるんだっけな。オレにはない。 「なんです、私の顔に何かついてますか?」 直江がいきなり額に汗をかき始めた。浮気がバレたような夫の顔しやがった。 「さ、触ったことは、あああ、ありますが……」 そりゃそうだよな……。 「うう〜」 オレが想像してることが何なのか直江も気が付いたらしく、焦りながら言い訳をした。 「私が愛しているのは高耶さんだけですから!もう二度とおっぱいは触りません!高耶さんのだけです!」 今日までは全然なんとも思わなかったけど、直江はエッチする時にオレの乳を揉むような感じで手を動かす。 「オレの平べったい乳なんか揉んだって揉めないだろうが!」 クッションで直江をバフバフ殴った。もうオレ嫉妬で狂い死にしそう!! 「た、高耶さん!やめてください!」 クッションを上げた隙に直江がギューしてきた。タックルみたいに。 「高耶さんだけしか愛してませんから!高耶さんにおっぱいなくても全然平気です!むしろもう高耶さん以外は触りたくもありません!!」 真剣な顔をしてチューしてきたから、たぶん本当なんだろうな、とは思う。 「泣き止んでくれましたか?」 これから直江とエッチだ。
それからしばらくして、朝、直江を送り出した後に母さんから電話がきて、おつかいを頼まれた。 そしたら俊介が泣いてたのは風邪を引いたからだった。これから医者に連れて行くから高耶はお父さんの書類を、というわけで。 通勤時間に電車に乗るのは2回目か3回目。 「は〜、行く前に疲れちゃいそう……」 父さんの書類が入った封筒を持って満員電車に乗った。30分以上こんな状態で立ってなきゃいけないってなんなんだよ、もう。 苦しい……。 どうにかならないもんかともがいていたら、電車の揺れと一緒に少しだけ隙間があいた。ラッキー。片腕だけでも腹から抜ければ苦しくならないで済む。 と、思ってたら、そのオレ手を導く何かが。 「え?」 ギュウギュウだからどう言っていいかわからないけど、位置的にはオレの斜め前に横を向いて立ってる女の人がいて、背が少し小さいから顔が見えないけどとにかく女だった。 は?え?なにこれ?どうゆうこと? オレの手の上から女の人の手が押さえ込んでモミモミされてるんだけど……しかもこの感触ってノーブラだと思うんだけど……。 わー!ヤバイ!変な女の人だ!!痴女ってやつだ!!いくらなんでもコレはヤバい! 必死で手を抜こうとしたんだけど、満員のせいでなかなか抜けない。ようやく次の駅で停まる寸前で抜けたからいいものの、このままずっと触らせられてたら大変なことになる!! でもおっぱい触っちゃった……。超柔らかかった。これがそうなのか……。
「ただいま、高耶さん」 直江を玄関でお迎えしてチューしてギューした。 直江の着替えを手伝うために一緒に寝室に。そんで今朝のことを話した。 「痴女ですか?」 着替え途中の旦那さんが半裸でオレに迫ってきた。そんでオレの右手を股間に。 「な、何?」 直江の股間を触らせられて、その手の上から旦那さんの手でモミモミされた。 「あ、硬くなってきた」 ちょっとだけ旦那さんと触りあいながらチューしたら、夕飯も忘れてエッチに突入。 オレは痴女より直江の感触の方が好きだから、おっぱいのことなんかどうでもよくなった。
そんなある日曜日、すっかり風邪が治った俊介が遊びにきた。にーに、にーに、とうるさかったからだって。 「お兄ちゃんに会いたかったのか〜!いい子だな、俊介は!!」 抱っこしてやると楽しそうに笑った。いい笑顔だ。可愛いなあ。 「にーに」 …………もしかして。 「直江、なーぱって直江のことじゃないか?」 直江が抱っこしたら顔を見ながら「なーぱ」って言った。本当に言った。 「俊介さん!!!」 よっぽど嬉しかったのか俊介のホッペに何回もチューしやがった。オレ以外のヤツとチューした!! 「ダメ!チューはオレとしかしちゃダメ!!」 直江から俊介を取り上げたら直江が笑ってた。なんでだ。 「じゃあ高耶さん、私にキスしてください。そうしたら俊介さんのホッペの感触を忘れますから」 俊介を抱っこしながらチューした。そのうち俊介にもにーにとなーぱが結婚してるってのがわかるだろう。
END
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あとがき |
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