奥様は高耶さん |
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イエーーーー!! でもな〜、直江は休みじゃないんだよな〜。 そんなわけで24日は帰宅した直江とソッコーでドライブに出た。 「先に夕飯食べましょうか」 直江はオレのささやかな願い聞いてクスッと笑った。 「なんだよ」 信号待ちでチューしてまだ新婚さんみたいにラブラブなオレと直江。
24日はガストで満腹になるまで食って、その後はクリスマスイルミネーションをやってるところをたくさんドライブして回って夢みたいにロマンチックな夜を過ごした。 今年は本気で邪魔が入らなさそうだから(用心はするけど)思いっきり直江とイチャイチャできる。 で、25日の朝だ。 プレゼントの包みが。 「もしかして直江から……?」 なんつー優しい旦那さんだ!!クリスマスサイコー!! 「直江っ、直江!起きろ!」 まだ寝ぼけてる旦那さんのほっぺにたくさんチューした。 「おはようございます……あ、それ」 朝からスリスリして甘えてチューもたくさん。
直江を学校に送り出してからプレゼントを……と、思ったけどもったいないから後で見よう。 掃除と洗濯を終わらせてからプレゼントを開けようとしたら邪魔が入った。 ピンポンが鳴ったから出たら母さんと俊介だった。 「どーしたの?」 褒めてみたら照れやがった。くそ、なんでこんなに可愛いんだ。 「俊介はサンタさんからプレゼントもらえたのか?」 ちょっと前に俊介に聞いたんだ。サンタさんに何をお願いしたのかを。 「何がもらえたんだ?」 ……おい。 「ほ、他は?」 おにぎりとクマしか貰ってないのか?いや、まさかそんなことは……。 「俊介、サンタさんは明日もプレゼントくれるから楽しみにしてろよ」 薄情な親を睨みつけて目で「絶対買え」と言っておいた。 「子供には夢を与えろ」 俊介と母さんはせんべい食ってから帰って行った。 「あ、そうだ。直江からのプレゼントがあったんだった」 さて箱を開けようかという時にまた邪魔が。 「こんにちは、高耶くん」 うっかりババアと言いそうになったのを危うく止めた。 「お姑さんにお茶も出さないつもり?」 ババア、じゃなかった、お義母さんは何やら包みを持っていた。なんだろう……爆弾かな……。 「お寺の人間がクリスマスなんてちょっとどうかと思ったのだけど、俊ちゃんにはいい夢を見て欲しいですからね。オモチャを買ったのよ」 爆弾かと疑ったから謝っただけだ。でもそれ言ったら離婚離婚と騒ぐに違いない。 「これは今からあなたのご実家へ行って俊ちゃんに渡すのよ」 見せにきただけか? 「それでこっちが義明のぶんね」 もう1個包みを出してきた。こっちは俊介のと違って小さい。 「義明が戻ったら渡しておいてね。あなたも一緒に見るんですよ」 やべ!ここはありがとうって言うところだったか!! 「……ありがとうございます……」 結局お義母さんは昼飯まで要求して食ってからオレの実家に行った。 やっと直江のプレゼントが見られると思ったら今度は学校が終わった美弥が来た。 「お兄ちゃん、昨日は義明さんとラブラブだった?」 受験勉強をしろ!!! 美弥は勝手に冷蔵庫を開けて中身を物色し始めた。 「なんにもないの〜?」 だったら紅茶のおかわりを出せと要求したからキッチンで作ってたらガサガサと音が。 「うわ〜!一番高い@−Podだ〜!!」 直江の愛を美弥に泥棒された!! 「おおげさな」 オレたち夫婦のの気持ちを踏みにじりやがって……。おまえら実家のヤツは全員鬼だ!! 「あ、もうなんか録音されてるよ〜?」 そう言ってどこかをいじって美弥は勝手に聞いた。でも10秒ぐらいでイヤホンを外してオレに返してきた。 テーブルに出されっぱなしのプレゼント。可哀想にオレより先に美弥が触るとは……うう。 小さい画面を見てみたら『01』から『99』までの番号がずらっと並んでた。 オレも不思議に思って聞いてみたら。 『おはようございます、高耶さん。ゆうべも寝顔が可愛かったですよ。さあ、そろそろ起きて。先生と朝のエッチをしましょう?高耶さんの×××××は今朝も元気ですね……』 ……こうゆう内容のエロトークが直江の声で『99』までぎっしり入ってた……。 「うがー!!」 穴があったら入りたいなんてもんじゃなく、このまま消えてしまいたいぐらいだ。 声だけかと思って他のところも説明書を読みながら見たら写真が入ってるものを発見!! 1枚目は直江がシャツを肌蹴て香水をつけてるシーン。2枚目は昼間の寝室に寝そべっているシーン。 例えば香水の写真にはBGMはムード音楽、それと『この香水よりも高耶さんの匂いの方がセクシーですよ。もっと嗅がせて?』とか。 全部の写真にそんなBGMと直江のエロボイスが。 そーいや誕生日のときに旦那さんのイメージビデオを作ろうとしてたっけか。 「帰ってきたらコロス……!!」 クリスマス?そんなもん、もうどうでもいい!!
「ただいま、高耶さん!」 帰ってきた!! ドドドって音をさせてオレが玄関に走ったもんだから、直江は奥さんが甘えてくると思って両腕を広げた。 「バカ!!」 必殺チョップで直江の脳天を一撃。 「なんなんですか?!」 わからないようだ。直江はたまに人としてどうなんだって思うような行動を取るが今日はまさにそれだ。 「あんなプレゼント渡しやがって!!」 やっと自分が仕出かしたことが奥さんを怒らせるものだったのに気がついたようだけど。 「すみませんでした……でもそんなに怒るほどのものでは……」 今度こそ本当にマズイと思ったのか額に汗を浮かべた。 「わかったか!!」 玄関で土下座したから一応は許したけど、アレを美弥に聞かれたのかと思うと……。 「また仰木家では大爆笑なんでしょうね……」 玄関で正座してる直江の脇には転がったケーキの箱があった。 「とりあえず着替えてこい」 しょんぼりして寝室に行ってしまった。うーん、言い過ぎたかな。 ケーキの箱を開けてみたら少し崩れてるけどギリギリセーフな状態だった。 直江が戻ってくる前にケーキを箱から出して、シャンパンを冷蔵庫から出した。 「……高耶さん」 怒りすぎてごめんなって言ってチューしてやったら無言でギューされた。 「直江大好き」 エロボイスじゃなくて普段の愛情表現を録音してくれればよかったのになー。
ガストから戻ってから直江にプレゼントを渡した。 「ありがとうございます、高耶さん!!やっぱり高耶さんが奥さんで幸せです!!」 またギューギューされてチューもした。旦那さんはオレに夢中なんだな。 「あ、そうだ。お義母さんから直江にプレゼントだって」 小さめの箱を直江が開けたらメカ的なものが出てきた。何かを測るような感じの。 「塩分濃度チェック計……?」 あのババア〜!! 「なんで毎年こうなんだ〜!」 オレたち夫婦にステキなクリスマスが来るのはいつなんだろう……!!
END
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あとがき |
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