トラブルシューター |
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受験勉強中のオレの楽しみといえば食い物だ。あと直江に甘えるのと。 今日は行列が出来るシュークリームとエクレアの詰め合わせを直江が買ってきた。 「わー、うまそう!」 家に直江が来て、今日も家庭教師してくれてる。 「そういえば兵頭が最近高耶さんの前に出てきませんね」 今現在の直江のライバルは兵頭と佐々木くんだ。兵頭は「俺の総長」とか言うから直江の癇に障るらしい。 直江にしかポヤンとしないんだけどな〜。なんでそんなに警戒してんだろ。 「高耶さんはちょっと目を離すと何かしら男に言い寄られてるから心配なんですよ」 むー。勝手に浮気性にされてる。そんなこと1ミリもないのにな〜。 「さあ、勉強しちゃいましょう」 直江が持ってきた参考書やドリルで受験勉強。最近少しできるようになって、このまえの中間テストでは100位以内に入れた。生徒数?学年の?160人だけど何か? 「そろそろオヤツにしましょうか」 現在午後6時。オヤツを食って9時まで勉強、その後で夕飯だ。 「オレ、エクレアとシュークリーム」 直江はシュークリームを1個だけ。甘いものは好きじゃなかったのに、オレと付き合うために克服したんだそうだ。 オヤツを食べながら最近の学園事情を教えてもらった。 「でも不安もひとつだけあって」 新しくヤンキーになるやつなんか、グーで1回パンチしちゃえば降参すると思うんだけど。 「高耶さんも情報を集めておいてくださいね」 シュークリームを頬張ったらほっぺたにクリームがついたらしい。直江は小さく笑って指でとってくれた。 「……またそーゆーことを……」 そう言ってオレの隣に移動してきてチューしてきた。予想はついてたけどやっぱり少し恥ずかしい。 「今日はもう勉強やめましょうか」 根拠のカケラも見つからないが、直江がいいって言うならいいんだろう。 「じゃあもっとチューする」 直江に120%流されて生きている今日この頃。こんなことでいいのかと思いつつ、体はどうしようもないわけで。 「じゃあ私が布団を敷いて待ってますから、高耶さんはお風呂にどうぞ」 風呂に入ってついでにトイレも行って準備OK。直江に言われたまま裸で出ていったら、まだ服を着たままの直江がいた。 「高耶さんの体は本当にきれいだ」 そう言ってチューしてきて、オレの下半身がモヤモヤしてきたところで。 「私もお風呂入ってきますね」 なるけど……もうオレの坊やはすっかり元気なんだよ……どうしろってゆーんだ。 「すぐ戻ってきますから。布団の中で今日は何をして欲しいか考えておいて」 何して欲しいか、か。うーんうーん。まずいつものしつこいチューだろ。あとは口でアレをしてもらって、オレもしなきゃダメか。じゃあお互いにするやつで。それとアレもコレも…… 「まだ考え中でしたか」 裸で来た直江はいつも思うけど彫刻みたいなキレイな形をしてる。グッドルッキングガイとかゆーやつだ。 「直江」 突拍子もないオレの希望を聞かされて、しばし呆けた直江。でもすぐに立ち直った。 「と、いうことは、高耶さんの体もじっくり見ていいわけですか」 オアイコなのか……じゃあ仕方ない。見せてやる。 明るい部屋の中で直江の恥ずかしいところも、オレの恥ずかしいところも全部丸見え。 「ほら、顔をこっちに向けて。それが高耶さんの気持ちいい顔?」 布団から起こされて直江と正面向いて座った。オレの視線の先には何度もオレの中に入ってくる大きいアレが。 「高耶さんも私と同じぐらい硬いですね……」 目で犯されてるって、こういう感じなのかな〜。何も触られてないのに犯された気分。直江だけかな、こういうの。 「もういいでしょう。入れますよ」 直江のが入ってきて合体。明るい寝室でいろんなところを見られて、股を広げて直江が入るところを見た。 「はいった……」 恥ずかしいけどこれやってくれたら天国かも。 「………………握って」 直江に入れられながら坊やもニギニギしてもらう。これサイコーにいい。 「直江、もう、だめ」 正直に言う。直江のセックスは最高級だ。他の女なんかに体験させたくない。
翌日は恥ずかしすぎた合体のおかげで直江の顔もまともに見られないまま学校に行った。 宮本くんと佐々木くんは同級生に敬語で話しかけるようなバカな真似はしない。年上のくせに留年して同学年になった兵頭はバカだから敬語で喋りかけてくる。 「なにかあったのか?」 宮本くんと兵頭だったらケンカは五分だろう。でも派手なことされたらオレが理事長に怒られるんだ。 「あと、あいつ、なんでか知らないけど用務員のオッチャンのこともストーカーしてっかも」 え?!直江?!もしかしてバレてるなんてことは……! 「な、なんで用務員のオッチャンを?」 宮本くんはちょっとビビりながら行ってしまった。クラスの中で総大将ってゆうなよな!! 「総大将!お待ちしてました!オレに相談ってなんでしょうか?!」 相談?なんでそんなことになってんの? 「相談じゃねえ。おまえオレのことストーキングしてるらしいじゃねえか」 こいつどこまで知ってやがんだ。直江とオレの関係はまだバレてないようだけど……。 「おまえ、オレんちがどこにあるか知ってるのか?」 住所とマンション名まで答えやがった。超ストーカーじゃねえか!! 「今後一切護衛はいらない。頼むとしたら佐々木くんに頼むからおまえは二度とオレを護衛するな」 ヤンキー軍団から脱退という屈辱は兵頭にも耐えられないらしく、おとなしく「わかりました」とだけ言った。 「でもなんで佐々木なんすか」 わかってんのかわかってないのか……もう兵頭とはマジで顔も合わせたくないよ……。
放課後、宮本くんに事の真相を話したら、やっぱストーカーじゃん、だって。戒めとして二度と護衛をするなって言ったら、今度は宮本くんが「俺がする!」と言い出した。 「いらない!」 そこに橘用務員さんがやってきた。 「仰木くん、玄関にお客さんが来てますよ」 これは用務員室の地下にあるモニタールームに来い、という呼び出しの暗号だ。 「はーい。じゃあね、宮本くん」 誰にも見られてないことを確認してから用務員室に入った。そんで奥の部屋の押入れからモニタールームに。 「なんかあったのか?」 学園内に隠しカメラがあって、その全部がモニタールームと繋がってたんだっけ。 「何を言われたんですか?」 オレはマジで迷惑だと思ってる。でも直江は疑いの眼差しだ。 「私に隠れて二人で会ってたりしてないでしょうね?」 あ!ヤバい!! 「浮気でもするつもりなんじゃ……」 直江の疑惑から逃れられたから話を元に戻した。強引に。 「とにかく兵頭にはもう護衛いらないって言ったし、佐々木くんに頼んだりする前に直江に頼むに決まってるし、つってもそのへんのヤンキーなんかオレとケンカしたって勝てるわけねえんだから護衛なんかいらないっての」 用務員がオレを狙ってるんじゃないかとか、男にやたらモテるとか、そうゆうのを話した。 「そういうことなら理事長に頼んで私が護衛をしますが」 シューターがシューターに護衛されてどうすんだって言われちゃうよ。あの理事長だぞ?
それから数日後。 「仇とってやんよ!!」 宮本くんはこう言うし。 「俺が弱いせいで……!」 と、田中くんは悔し涙を流すし。 「仰木チャンが出るまでもねーよ。俺と宮本でやっておく」 なんて佐々木くんは言うし。 総大将のオレが何もしないってわけにいかないんだよな〜。だってもう田中くんがボコられたの理事長や譲や直江に言ってあるから、面倒事をシューターするオレは理事長からもう命令出てるし。 「えーと、田中をボコったやつはオレも出てシメる。この場にいる3人はオレの命令を待つこと。あと田中、兵頭にも知らせておけ。オレが機会をみつけるから呼び出したら集合してシメに行くぞ」 どうやらオレの傘下はこういう熱血なものに弱いらしい。すごい団結してる。 「高耶、田中くんをボコったヤツラはもう誰かわかってるのか?」 名前もわかってたから教えると、理事長はパソコンでその4人の顔写真を出した。 「なんで他校の生徒のデータなんか見られるの?」 うちの理事長はマジでどうかしてる。こんなのハッキングするなんて。 「直江がな」 ええ〜!!直江がハッカーなのか!!なんか超ストーカーっぽいし!!兵頭よりずっとストーカーみたいだ!! 「こいつらの出入りしてる店やたまり場を調べておくから、高耶は情報待ちをしてくれ。わかった時点で特攻かけろ。相手は4人だがこっちは高耶も入れて5人だろ。まあ高耶一人でもじゅうぶん勝てるだろうがな。そうじゃないと格闘技を身に付けさせた意味がない」 気は進まないけどこのへんの不良を制覇することになった。手始めにあやめ商業高校、略してアヤショーからだ。
んで5日後、理事長からアヤショーの4人のたまり場がメールで送られてきた。 オレの制服にマイクが仕込まれてるから譲や直江に聞こえるようになってる。譲からの連絡は、オレの腕時計に仕込んであるアラームがピーピー鳴ると警察が来たってことだそうだ。 そしてオレは鼻息も荒いヤンキー2人とストリート系2人を連れてアヤショーの4人がよくたまってる公園ちかくのたこ焼き屋さんへ。 「総大将!アレっす!!あの4人っす!!」 たこ焼き屋さんには申し訳ないからできるだけ公園でケンカしよう。まあ4人ぐらいはオレの武術があれば1分しないで終了だろうけど。 「おい、オメーら、この前はよくもボコってくれたなあ」 映画でしか聞いたことがないセリフを田中が言った。ダメだ、笑っちゃダメだ、オレ!!耐えろ!! 「あー?なんだ、ダチ連れて仕返しか?」 田中!!おまえはトップ入りしてねーじゃんか!!笑わせるなよなー!!ブフー!! 「へー、おまえあんなに弱かったのにトップ5?じゃあ俺ら余裕で勝てるな。来いや」 向こうさんから公園に誘導してくれた。たこ焼き屋のおじさん、迷惑かけないようにするからね!! 「おらぁぁぁぁ!!」 まさに映画のようなケンカシーンの始まり。ああもう!笑っちゃって力がでない!! 「あっははははは!」 4人一斉にオレに向かってかかってきた。ダメだよ、キミたち面白すぎる!! 「そ……総大将……やっぱすげえ……」 うちのメンバーがちょっと引き気味の中、アヤショーの4人の中の1人が立てないまま聞いてきた。 「お、仰木チャンて……あの伝説の……鑑別所の帝王か?」 鑑別所の帝王?なにそれ?聞いたことないけど。 「鑑別所のやつら全員を仕切ってた伝説の……」 ちょっと合ってるけど正しくはない。仕切ってないし、全員倒したわけじゃないし。 「その仰木さんだよ!!おまえらアヤショーとは仰木さんの存在があったから和睦してんだよ!!ぽっと出のエセヤンキーが勝てるわけないだろうが!!それでもやる気ならアヤショーの本物のヤンキーどもに聞いてみろ!!」 やめてくれー!!そんなもっと伝説になりそうな話を捏造すんなー!! 「仰木チャンがこのへんの学校全部仕切るからな!!帰ってそう伝えろ!!」 ええ〜〜〜!!そりゃ理事長にはそう言われたけど、仕切るなんて無理無理無理無理!! 「さ、行きましょう、総大将!!」 兵頭と宮本くんはなぜか意気投合。すげー楽しそうだ。これだからバカって……。 「仰木チャン、どうすんの?受験勉強してる暇なくなるよ?」 佐々木くんはやっぱり冷静だ。自分だって受験勉強してるから総大将なんかやる余裕ねーもんな……。 佐々木くんが缶ジュースおごってくれて、飲んだらすぐに家庭教師の時間だからって言って4人と別れた。 「相変わらず高耶さんは強いですね……」 自分の生活設計が崩れたことに泣きそうになったら、直江が抱きしめてくれた。 「でも笑いながら戦う高耶さんはちょっと怖かったですが……」 今日も受験勉強は2時間でやめて、直江と一緒に布団に入って合体した。 ああ、どうなっちゃうんだろう、オレのスクールライフ!!
END
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あとがき |
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