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高耶さんは17歳 第7話 試験勉強とオレ |
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そろそろ期末テストだ。別居の季節がやってくる。 せっかくの新婚生活なのになんで別居しなくちゃなんねーわけ? 「そうじゃなくて、家事の負担を少なくしてそのぶん勉強できるようにっていうご両親の優しさでしょう。それに私だって高耶さんの成績が下がるのはイヤですよ。結婚したから成績が下がったなんて、ご両親にどうお詫びしたらいいのかわかりませんよ」 生返事をして拗ねて、その晩は直江にたくさん甘えた。
一週間の別居生活が始まって、オレは実家の自分の部屋に戻ってきた。 「かーさん」 母さんの作ってる脇に立って4月からの料理部で鍛えた技と、直江との結婚生活で鍛えた愛情料理を披露した。 「がー!もうつまんねえ!」 最後に湯豆腐の薬味になるネギをみじん切りに。まな板の上に乗せて包丁でガンガン叩いた。 「ど、どうしたの?!」 そうか。直江を呼んで一緒にメシを食えばいいんだ。どうせあいつはインスタントで済ますんだし、実家と新居は徒歩15分足らずの距離だもんな。 「電話してみる!」 台所を飛び出して電話のある玄関そばまで行った。そこで電話をかけようとしたら美弥が彼氏と長電話中だった。 「どけ!直江に電話すんだから!」 直江と結婚する前は携帯を持ってなかったんだけど、結婚後は何かと使うだろうってことで直江に持たされてる。しかもラブ定額とかいうやつでオレの携帯と直江の携帯はいくら話したってメールしたって定額料金で済むんだ。良くね?コレ。 「直江?」 そんなんで今のオレの寂しさが癒されるわけないのに~!! 『じゃあもう切りますよ。ちゃんと勉強するんですよ』 そう言って電話が切れた。くっそー。 「離婚してやる~!」 リビングで叫んだオレに家族全員で反応しやがった。母さんは料理を放り出して、父さんは白熱してたクイズ番組の問題を放棄して、美弥は彼氏との電話を切ってまで。 「ダメだよ、離婚なんかしたら!」 なんでかウチの家族は全員直江贔屓だ。あいつ、家族の前じゃすっげー好青年ぶってるからな。中身はただのエロ教師のくせにさ。 「おまえみたいな能天気なヤツが、普通に結婚しようとしたら大変じゃないか。嫁さんなんか絶対に来ない。来たとしてもおまえに輪をかけて能天気な嫁しか来ないんだぞ」 ちょっと待ってくれ、我が家族よ。オレのどこが奥手なんだ?高校生で結婚して、あまつさえその旦那に色んなことされてますけど。 「試験勉強でちょっと実家に戻って、旦那さんが自分の言うことを聞かないだけでそんな癇癪起こすもんじゃないわよ」 そう言って父さんたちは目の前でチューしはじめた。あんたたちの息子が寂しがってるってのに!! 「もういい……」 オレはこのアホ家族の中で一番まともなんだ。そう言い聞かせて夕飯を食って、また勉強に戻った。
翌日、直江のいる歴史準備室に行った。 「入っていい?」 他の先生はいないし、テスト問題は職員室に置くことになってるからここでならゆっくり話ができる。 「昨日、何時に帰ったんだ?」 先生にも色んな付き合いがあるんだな、ってことがわかった。 「そういえば」 直江は前回の話『ラブレターとオレ』の中で出てきた教頭先生とタイマン張って威勢よく啖呵切ってから、結婚指輪を学校にしてくるようになった。女生徒や女教師へのカモフラってのが名目上だけど、実際はオレとの本物の結婚指輪だったりする。 「教頭との話を正直に話すのはちょっとアレだと思ったので、カモフラージュだけど恋人とお揃いだってだけ答えておきました」 もう直江にチューしたくてチューしたくてたまらなくって、ちょっとだけって頼んでみた。 「今日は?ウチでメシ食える?」 チ。堅物め。アレも堅いけど頭の中も堅いんだな。って、オレ何考えてんだ!! 「7時ぐらいに行けばいいですかね?」 そんで直江は夕飯だけ食いにウチに来るようになった。
別居してから本当に直江は毎日夕飯を食いに来た。そして明日からテストだって日に親父は直江に風呂をすすめて夕飯前にサッパリして一緒に晩酌でもしようと誘った。直江は二つ返事でOKした。 「義明くん、明日からのテストのために少し高耶の勉強を見てやってくれないか?」 で、夕飯が終わってから直江はオレの部屋に来た。親父から何かを受け取ってから。 「直江って歴史の他にも教えられるんだろ?」 なんでチューすんだ?まあいいか。したかったし。 「なんで!試験勉強すんだろ!」 あ、さっき直江に渡してたのがいいものなのか。 「何貰ったんだ?」 直江の手の中にあったのはコンドーム。 「はあ?!」 その時、玄関のドアが閉まった音がした。そして外から声が。 「お兄ちゃん、行って来ま~す。ごゆっくり~」 ……出てった……仕組まれてたんか……。 「な、直江……ちょっと待て……そーゆーんじゃなくてだな」 そんでオレは直江にオイシク頂かれてしまった。
「あら、高耶。成績上がったじゃない」 戻ってきた答案用紙を見せに実家に戻ってきたオレは以外にも成績が上がってたことで誉められた。 「やりゃ出来るんだよ」 はあ?!このアホ家族は何を言ってるんだ?! 「やりゃ出来る、だって~!」 オレが言ったのはだな!勉強なんかやりさえすればオレだってバカじゃねーんだぞってことを言いたかったわけでだな! 「勝手に盛り上がるな~!!」 ダメだ……オレが嫁に行ってからなんでか知らんがアホに拍車が掛かってる!いったいどこまでアホになれば気が済むんだ、オレの家族は! 「帰る!!」 真っ赤になって実家を出るってどうなんだ?!なんで実家でこんなに恥ずかしい思いをしなきゃなんねーんだ?! 「おかえりなさい、高耶さん」 持ってた学生カバンと脱いだダッフルコートを直江に投げつけた。 「何が私のせいなんですか。そんな癇癪起こして」 大人な直江はまったく気にしてないらしい。そりゃ大人だからな。エッチも日常生活だっただろうさ! 「まあまあ、とりあえず座って」 ポンポンとソファを叩いて隣に座れと言ってきた。まだちょっと怒ってたけど、やっぱり直江が好きだから座る。 「確かに高耶さんのご家族はオープンですからね、そういうことも言うでしょう。別に悪気があって言ったわけじゃなくて、あなたが幸せそうだから言ったんですよ。安心してる証拠じゃないですか?」 そーだけど。直江のお兄さんに言われるのと家族に言われるのじゃ違うんだよな~。 「とにかく」 で、チューしてたら無性に直江に甘えたくなってきて、いつもよりずっと子供っぽくスリスリしたり鼻を鳴らして甘え声を出した。 「だから、おまえは!」 潤んだ、とゆーか、寂しそうな、かつ欲情してる目で言われるとどうも断れない。 「しょうがないな……っ」 まあいいか。学生服は明日クリーニングに出すんだし、少しぐらい汚れても平気かな。 「あ」 ……オレ、もうアホには付き合いきれないかも。 「……なんか……おまえもどんどんアホになってくな。する気なくした。やーめたっ」 ソファでむせび泣く直江を無視して夕飯作りに取り掛かる。
END
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あとがき |
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