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同じ世界で一緒に歩こう

44

ショータイム


 
   

 


就職も決まって、課題ももう難しいのは出なくなって、ちょっと気楽になってきたころ、千秋がオレと譲をイベントに誘った。

「オールナイトのイベントなんだけど、俺が出るショーがあるから来いよ」

そう言ってチケットを2枚くれた。
東京都下の大きな会場でやるテクノのレイブで、音楽と映像とライティングとファッションとアートが一堂に会すらしい。
土曜の夜から日曜の朝までのイベントだからもうマジで行ってみたい。
あんまり派手に遊ぶのは好きじゃないけど、こんな面白そうで楽しそうなイベントだったら行きたい。

もちろん譲も行きたがってる。こんな機会でもない限り行かないもんな。

だから直江にその日はオールナイトで遊ぶから会えないって言ったんだ。
そしたら。

「ダメです、そんなところに行くなんて」
「だってもう約束しちゃったもん。ショーが終わってから千秋とも合流するんだから危なくないってば」
「危ないとか、危なくないとか、そんな問題ではないんです。とにかくダメですからね」
「……じゃあ直江も一緒に来ればいいじゃん。保護者代わりにさ」

そう言ったら直江は今まで見たことがないような硬直した顔になった。

「それは……無理なんです……」
「なんで」
「ええと……その日は仕事が……」
「何時に終わるんだ?どうせオールナイトだから待ってる」
「……それが、その」

怪しい。オレに言えないような仕事なのか?もしかして泊まりで海外とか?だとしたら正直に言うよな、うん。
やっぱおかしい。

「言え」

胸倉を掴んで睨んでみた。もしも浮気の要素があるようならぶん殴ってやるつもりで。

「実は……私もそのイベントに出るんです……」
「は?じゃあいいじゃん。直江と後で合流するからさ」
「でもですね……」
「白状しやがれ。何が問題でダメだって言ってんだ」

直江の言うことはマジでくだらなかった。
他のイベントとは違ってお洒落でハイセンスで可愛くて美人な女の子や、かっこいくて面白い男ばっかりが集まるから、それが心配で行かせられないなんて抜かしやがった。
オレが!いつ!そんなものに目を奪われたことがあるってんだ!

「それでも心配なのはあなたにだってわかるでしょう?」

そりゃ直江がそんな女の子に囲まれて、酒で酔った勢いでチューされたり、抱きつかれたりしたら嫌だ。
だけど直江はモデルで、オレは一般人。そんなこと普通に考えればあるわけがない。

「行~き~た~い~!」
「反対です」
「……直江のショーも見られるのにな~……かっこいい直江が見たかったな~……」
「……そ……そうですかぁ?」

お、ちょっとノッてきた。

「彼氏と一緒にそーゆーとこで遊んだりしてみたいな~。それにさ、彼氏だって公言出来ないけど、直江と一緒にいるとこをみんなに見てもらえるだけでもさ~」

直江はオレとの事をブログに書いて主張したがるほど、オレを愛してるらしい。本人談だ。
だけどそれはオレが困るから止めてもらってる。
そんな『高耶さん病』丸出しの直江がイベントでオレとイチャイチャしたがらないわけがない。

「たまには直江とそーゆーイベント行ってみたいな~。ああ、これがベルリンとかイビザ島とかゴアとかだったら人目を気にせずチューも出来るんだけど……。日本じゃイチャイチャする程度だけど、行ってみたいな~」
「行きましょう!!」

よっしゃー!!

そのイベントは毎年やってるもので、毎回直江の事務所のモデル全員が出演するらしい。
(去年、直江は海外に行ってて出なかったけど)
そんでイベントの協賛に若者向けのブランドも入ってて、そこのショーのモデルをするんだそうだ。
だから今回は若者向けの服を直江も着るんだって。ちょっと面白そう。

「じゃあ、チケットは友達にあげてもいいですよ。私が綾子に言って高耶さんと譲さんのパスを貰っておきますから」
「そんなことできんの?」
「多少はね。これでも顔は利くんです」

そんなわけでチケットは譲の友達にあげて、オレと譲は当日関係者受付でパスを貰うことになった。
パスにもレベルがあって、一般客立ち入り禁止のフロアまでとか、楽屋までとか、設備施設までとか、色々ある。
オレは出演者の楽屋までの中のCランクパスを貰えるらしい。
Aランクパスは会場設備の人だけのどこでも入れるスペシャルパス。
当日メインのDJの楽屋まで入れるのはBランクパス。
Cランクパスはサブイベントの出演モデルやそのスタッフの控え室までのだ。

そんなこんなでオレと譲は土曜の午後5時に集合して電車で1時間半かかる某駅へ向かった。

 

 

 

異世界だな~ってのがオレたちの最初の印象。
普段学校や街で見てる普通の(普通よりちょっと派手かもしれないけど)服装のやつもいれば、奇抜すぎるんじゃないかと思うようなやつもいる。まるで宇宙人みたいなやつもいる。

とにかく熱気が今まで体験してきたどの場面よりもすごかった。ついでに人数もハンパなかった。
パスを貰うんで並んでる間も、人数の多さと熱気と楽しそうな雰囲気に圧倒されてボケーッとした。

「高耶、直江さんの出るショーって午後9時からってやつだろ?それまで2時間あるけどどうする?」
「テキトーに時間潰してもいいし……」
「でもせっかく来たんだから踊りたいな」

踊るのか……ちょっとオレは無理かもしれない。フラフラ揺れるぐらいなら大丈夫、かな?

「先に少し飲んでから入ろうか」
「あ、うん、それでいい」

売店でアルコールを買ってホールの外で飲んだ。酒でも飲まなきゃ揺れるのも無理だ。
来てる客を見てたら直江の言う通り、女の子はみんな可愛くて美人だし、男はみんなかっこいい。
それに何よりみんな服装のセンスがメチャクチャ良かった。勉強になる。

今日はこのイベントのために直江が服を揃えてくれて、それを着てきたんだけど……正解だったな。
譲はボンボンだからいつもいい服着てて、センスもいい。今日の譲は鮮やかな黄緑色のパイピングが施された白いタンクトップに、黒のハーフパンツだ。んでパトリックのスニーカーと、上着はカーキの長袖サファリシャツ。
全部高価な服だとオレは見た。
松本にいたころはもっと地味だったんだけどな。

オレは直江が買った襟と前にプリントが入ったヘンリーネックの半袖シャツと、これまた直江が買った古着の大きめのジーンズと、またもや直江が買った白いベルトと、さらに直江が買った水色で袖部分にオレンジと赤が腕章みたいに切り返しで入ったパーカー。
うーん、直江に買ってもらってばっかりだな。まあいいか。

暑くてすぐにパーカーを脱いで腰に巻きつけておいた。譲もシャツを脱いで腰に。
そんぐらい熱気で暑かったんだ。

酒を飲んだ後にすぐダンスフロアになってるホール内に入って、端っこで譲と揺れてた。
高校のころから考えたらオレがこんな場所にいるのなんか有り得ない。でもこういうのも案外楽しいもんだ。

揺れたり、座ったり、立ってたりしてるうちにショーが始まった。
せっかくだから直江の勇姿(?)を近くで見たくてステージに寄ってみたんだけど、人が多すぎてそれどころじゃない。
ちょっと離れた場所から見ることになってしまった。

音楽はダンスの時から一時も止むことがなく、自然にショー用のテクノに切り替わってた。ブースがステージと反対側にも両方あって、ショーの間は反対側でDJやってるらしい。

まず最初に出てきたのは千秋だった。
いつもオレのことからかって遊んでるくせに、仕事になると本気モードでモデルになる。悔しいけど激かっこいい。
しかもすげー派手な衣装が似合いすぎるほど似合っててムカつくぐらいかっこいい。
ついでにテクノのリズムに合わせて踊るようにして歩いてるのがまたさらにかっこいい。
そんで観客から歓声を浴びて、それに答えて腕を振り上げる仕草が当然のようにかっこいい。
千秋ってモデルだったんだな~。(今更)

その後続々と知った顔のモデルが出てきて、直江の登場だ。ビックリした。
言っておくけど今回のショーは若者向けだ。直江は大抵大人の男向けの雑誌や、高級ブランドのショーに出てる。
なのに直江は若者向けだろうが関係なく、そのブランドの個性をちゃんと出して出てきた。
千秋ほど派手な登場じゃないけど、それなりのリズムを取りながら、それなりのポージングをして、違和感なく着こなして、堂々と出て、戻って行った。

正直言って鼻血出して倒れそうなぐらい、直江はかっこよかった。
心はアイドル歌手を間近で見た少女だ。

「直江さんすごいね!高耶!あれで30代だなんて思えないね!てゆうか、あれ本当に直江さん?!」

譲がこう言うぐらい、直江は若々しかった。ビビッた。

「高耶?!」
「……マジでアレが直江……?」
「え?聞こえないよ!」

大音響の中でオレが呟いた一言は譲には聞こえなかったみたいだ。

「アレがオレの彼氏……?」

このとき、オレは初めてものすごいヤツと付き合ってるんだって思った。

 

 

 

1ステージでだいたい一人5回は着替えたはずだ。ショーは30分程度で終わった。
放心状態だったのを譲に連れ出されてロビーに出た。

「ちょっとウロウロしたら直江さんとこ行こうよ」
「え?」
「俺は千秋と合流しなきゃいけないし、高耶は直江さんが待ってるんだろ?」
「あ、ああ、そうだった」

ショーが終わったら直江も千秋も後はフリーだ。譲は千秋と合流する約束をしてて、オレは直江と二人でイベントを楽しむ約束になってる。
どうせ高耶と直江さんと3人でいたって面白くないもん、て言われた。

トイレに行ったり、水を買って飲んだり、グッズ売り場を冷やかしてからパスを使って直江たちがいる楽屋へ行った。
ドアを開けるのはやっぱり出演者じゃないオレたちは気が引けて、廊下で戸惑ってたら綾子ねーさんが出てきた。

「あら、あんたたち。そんなとこで何してんの?早く入ったら?」
「本当にいいの?」
「いいのよ。なんのためのパスなわけ?」

ねーさんがドアを開けてくれて、中に入れられた。それでもちょっと及び腰になるけど、モデル全員とオレは知り合いだったから(この事務所でバイトしてたからな)どうにか気が解れた。

「直江!高耶くん来たわよ!」

ねーさんが叫ぶと奥にいた直江が立ち上がって迎えにきた。
もうすっかりメイクも落として普段着の直江に戻ってた。こうして見ると30代だ。

「まだ少し休ませてください。慣れないショーは疲れますね」

譲は千秋や他のモデルのところへ。オレが知らない間に他のモデルとも交流を深めてたらしく、仲良さげに話してる。
オレもみんなに会釈した。
あんまり考えたくはないが、どうも事務所のモデルや職員数人はオレと直江の関係を知ってるらしかった。
ただあからさまにそういう目で見ないのは、この業界には同性愛者が多いからなんてことないってだけ。

「ステージ、見てくれてましたか?」
「うん、見た」
「どうでした?おかしなところはありました?私だけ異色だったとか、そんなことは?」
「………………」
「高耶さん?」
「……一番、かっこよかった」

直江は驚いて目を見開いてから、いつもの笑顔になった。

「ありがとう。高耶さんにそう言ってもらえるならまだ私もいけますね」
「すごくかっこよくて、ビックリした」
「これからも頑張ります」
「うん」

さっきのものすごいかっこいいモデルがオレの彼氏……。嘘みたいだ。

譲たちはオレと直江に手を振って楽屋を出た。みんなで遊ぶらしい。
オレは直江と楽屋でしばらく話してから座席があるスタンドへ行った。そこで様子を見たいって直江が言ったから。
座席は案外空いてて、隅っこに陣取ることができた。下を見るとホールで何千人て数の人間が踊ってる。

「下で遊ばねえの?」
「それはまた後でにしましょう」
「うん」

大きな音の中でホールを見てたら目立つ集団が見えた。千秋たちだ。譲もいる。
ちょっとだけ周りが引いて、そのすぐ後にものすごい囲まれ始めた。その場のノリで客と一緒に楽しんでるっぽい。
……もしあの中に直江がいたら……。うーん、絶対に女の餌食になるな。

「直江」
「はい?」

大音響の中だから顔を寄せないと声が聞こえない。オレは直江の耳元で少し大きめの声で話した。

「あとでホールに行って女に囲まれても、絶対にそばにいろよな」
「当たり前じゃないですか。あなたを見せびらかすんですから」

暗くてうるさくて顔を寄せないと話せない状態を利用して、直江がオレのほっぺたにチューをした。
さっきまでステージであんなにかっこよかった直江がオレにチューしてるのか~。

「……どうしたんですか?あの」

チューしたのを怒ってオレが黙ってると思ったらしくて、直江は謝ってきた。
そうじゃなくてだな。
……嬉しかったんだよな。この男をオレが独占してるのかと思うと、嬉しくて。
もっと独占したいなって思ったんだ。

「もっとチューしよう」
「……は?」

暗いし、うるさいし、端っこだし、誰も見てないだろう。それに見られてもかまわない。今は。
だからオレから唇にチューした。

「……高耶さん?」
「もっと」

普段は大きなコンサート会場の隅っこで、ずっとチューしてた。
きっと酔ってたんだ。酒じゃなくて、オープンなイベントの雰囲気に。

 

 

 

ロマンチックとはほど遠い音楽の中で寄り添ってじっとしてた。どのぐらいそうしてたかわからない。

「そろそろ、下に行きますか?」
「うん。オレの彼氏を見せびらかしに」
「違います。私の彼氏を見せびらかしに、です」

どっちでもいいやって笑って、並んでスタンドから出た。会場はどこもかしこも人が多くいて、直江をチラチラ見る。
だけど誰も話しかけてこないのは、そういう雰囲気を直江が持ってるからだ。千秋とは違って直江はこの会場にそぐわない落ち着きがあるから。

「囲まれたら逃げましょうね」
「誰にも直江を触らせないからな」
「なんだか今日はやけに独占したがりますね。珍しい。いつもは立場が逆なのに」
「いいだろ、別に」

あんなかっこいい直江を見せられたら心配にもなるじゃんか。
今までそれほど気にしてなかったけど、直江は桁違いにモテるんだろうな。しかも職業はモデルで有名人。ついでに金持ちときた。
オレが直江と付き合ってるなんて本当に奇跡としか言いようがないほどだ。

「なんなら手でも繋ぎますか?」
「……直江がいいなら」

こんなの場の雰囲気に酔ってなきゃ言えない。けどなんか、こんなにたくさんの人が自由に楽しんでる中で恥ずかしがってるのは不自然だなって思ったんだ。
今夜は思いっきり楽しむためのイベントなんだ。オレも何も気にしないで楽しみたい。何も気にしないで直江を独占してみたい。

「私はいつだってかまいませんけど……高耶さん、本当にどうしたんですか?」
「どうしたんだろうな。オレにもわかんないけど、楽しいから何でもいいじゃん」
「そうですか?」

混雑したロビーで直江がオレを引っ張るふりして手を繋いだ。そこにいるだけで視線を集める直江なのに、若い男と手を繋いで歩いてるんだから視線は倍増だった。
恥ずかしさはあった。だけど、優越感の方が大きい。直江はオレのものだって自慢してる優越感。

ホールに入ると暗さで手を繋いでるのが目立たなくなった。引っ張られながら比較的空いてる場所へ行くと、そこに譲と千秋がいた。

「オッス」
「他のモデルさんたちは?」
「はぐれた。探すのメンドーだから成田と二人でフラフラしてるとこ」

二人はオレたちが手を繋いでるのを見ても何とも思わないようで、通路を作ってる柵にもたれてレーザーアートを眺めてた。

「高耶さんさえ良かったら、3人で踊ってきてください。私は大人しくしてますから」
「直江は?踊らないの?」
「苦手なんですよ」

ショーのウォークでリズムを取るぐらいは出来るけど、踊るのは無理だって。出来るのはワルツぐらいだって笑ってた。
でもせっかくなんだから直江も踊ればいいのに。そう思って直江と向かい合って両手を取ってちょっと揺れた。
幼稚園児みたいな感じで。
そしたら直江は嬉しそうに合わせてくれたんだ。脇で見てた千秋と譲もふざけてオレたちと同じように手を取り合って踊り出した。

たった2~3分だと思う。そうやって揺れてたら急に直江が抱きついてきた。

「なんだよ」
「楽しくて」
「そうか?よかった」
「……ここでキスしてもいい?」

ここで?
だってここでチューなんかしたらみんな見るのに。オレはただの専門学校生だけど、直江はモデルで、有名人で。

「ダメだなんて言わせませんよ」
「ん……」

いいや。
譲が見てようが、千秋が見てようが、何人の客が見てようが、関係ない。直江はオレだけのものだ。
ちょっとだけ熱烈なチューをした。

 

 

 

そのイベントは朝の6時まで続くんだけど、オレも直江もある意味盛り上がってきて途中退場してタクシーで帰った。
直江の家までのタクシー代はハンパじゃなかったけど、二人の盛り上がりようもハンパじゃなかった。
あんなに大勢の前でチューしまくったからかな。

タクシーの中では手を繋ぐだけじゃ飽き足りなくて、寄りかかったり運転手さんが見てない時を狙ってチューして、イチャイチャしながら帰った。
直江のマンションに着くとすぐにまた熱烈なチューをしながらバスルームへゴーだ。
相変わらず鼻血を出す直江に気遣って仄暗いバスルームで遊びつつ、ちょっとエッチなことをして、それからバルコニーで本格的にエッチなことをして、寝室でもちょっとして。

空が白んできた頃に二人とも疲れて眠くなった。
だけどイベントの自由な空気を纏ったままのオレたちは、眠たいのに興奮してキャッキャと笑って、何度もチューして眠ろうとしなかった。

「こんなにあなたを独り占めした気分は今までになかったですよ」
「うん。オレも。なんか……すっごいいい気分だった。なんで今まで隠してたんだろうって思ったよ」
「じゃあ公表しますか?」
「ダメ。まだ、もうちょっと」

いつか。オレがもう少し大人になって、強くなって、誰のことも説得できるようになって、胸を張って直江を彼氏だって言えるようになるまで。もうちょっと。

「残念ですけど、こればかりはしょうがないですね」
「そのうちな。今は直江とこうしてるだけでいい」
「高耶さん」
「ん?」
「愛してます」

今日初めての愛してるを言われて、気が付いた。
直江はモデルやってる時もメチャクチャかっこいいけど、こうしてオレに愛してるって言ってる時が一番かっこいい。
タチバナヨシアキでいるよりも、直江でいる方がずっといい。自然で、自由で、優しくて。

「直江ッ」
「はい」
「直江ッ」
「なんですか?」
「愛してるぞ!」

もう本当に眠いのに、オレと直江は今日何百回目になるかわからないチューをした。
眠るのがもったいない。いつも直江を独占してるの知ってるけど、もったいないよ。

「もう少し、起きてよう?」
「はい」

直江も同じ気持ちでいてくれればいいって思った。でもなんとなくわかる。
きっと、いつも、同じ気持ちだ。

「愛してます」

ほらな?

 

 

END



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あとがき

直江のショーを観客として
見たことがないな、と。
騒がしい所に二人で
行った事もないな、と。
レイブ会場で妄想しました。